元日恒例の第55回全日本実業団対抗駅伝競走(ニューイヤー駅伝)が1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間100キロのコースに37チームが出場して行なわれ、トヨタ自動車が4時間51分56秒で悲願の初優勝を果たした。2位には富士通、3位には前年覇者の日清食品グループが入った。
 例年以上に暖かく、穏やかな気候に恵まれた今回のレースは、区間ごとにトップが入れ替わるという大混戦の展開となった。まず1区で抜け出したのは旭化成と東京電力グループ。旭化成・大西智也と東京電力グループ・若松儀裕が集団から抜け出し、後続を突き放したかたちで2区へとたすきをつなげた。しかし、外国人選手が多く集い、激しく順位が入れ替わった2区では、7位でたすきを受けとったHondaのイブラヒム・ジェイランが先頭に立つ。

 3区ではトヨタ自動車のルーキー高林祐介が下馬評通りの快走を見せてトップに立ち、区間新記録を樹立。最長22キロ、各チームのエースが集う華の4区では佐藤悠基(日清食品グループ)が激走。一時はトップの尾田賢典(トヨタ自動車)と並びかけたが、最後は一度抜いた中本健太郎(安川電機)に再び2位の座を明け渡した。最もタフなコースと言われている5区ではトヨタ自動車、安川電機、日清食品がトップを入れ替わりながら並走。最後はデットヒートの末に日清食品、安川電機がほぼ同時に中継所に入った。

 6区で日清食品が遅れをとり、安川電機とトヨタ自動車がトップ争いを繰り広げたが、最終の7区に入ると、日清食品、さらには富士通が追い上げをはかり、トップ集団へ。5キロ通過とともに安川電機が遅れをとり始め、優勝はトヨタ自動車、日清食品、富士通の3チームに絞られた。残り約3キロの地点で小野裕幸(日清食品)がスパートをかけたが、福井誠(富士通)、熊本剛(トヨタ自動車)がピタリと後ろにつき、3人での並走が続く。

 史上最大のデットヒートが繰り広げられた2年前を彷彿すさせるかのような三つ巴での優勝争いを制したのはトヨタ自動車だった。最も苦しい表情を浮かべていた熊本が残り500メートルで飛び出し、そのままトップでゴール。トヨタ自動車が悲願の初優勝を果たした。選手たちに胴上げされた佐藤敏信監督は「素晴らしい選手たちに巡り会えて嬉しい。最高です。(優勝は)一人一人が自分の持ち味を出し、キャプテンの熊本を楽にさせようという気持ちをたすきに伝えた結果」と満面の笑顔でインタビューに答えた。

 虎視眈々と後ろから追い上げを図り、最終区でトップ争いに加わった富士通は最後のスピード争いでも小野が熊本を猛追するも、わずか1秒及ばず、2年前の再現にはいたらなかった。