第87回東京箱根間往復大学駅伝競走最終日は3日、神奈川・箱根町の芦ノ湖駐車場前から東京・大手町までの復路5区間(109.9キロ)でレースが行なわれた、前日の往路では5区で東洋大に逆転を許した早稲田大が6区で再びトップを奪うと、一度もその座を明け渡すことなく、出雲駅伝、全日本大学駅伝続いての3冠を達成した。
 3年連続で東洋大のスタートから始まった復路では、山下りの6区からめまぐるしい順位変動が起こった。先頭争いでは初めての箱根となる早大・高野寛基が力走。9キロ手前で東洋大の市川孝徳に追いつくと、そこから2人の激しいトップ争いが展開された。高野は途中、カーブで転倒する場面もあったが、18キロ過ぎに一気にスパートをかけると、市川に36秒差をつけてトップでたすきを渡した。トップとは3分25秒差、5位で芦ノ湖をスタートした駒澤大は千葉健太が58分11秒と10年ぶりに区間記録を塗り替える好走を見せ、早大とは2分14秒差の3位で小田原中継所に入った。また、後続では日本体育大が10位から6位へ、山梨学院大が13位から8位へと浮上した。

 7区以降も早大がトップの座を守り続けた。小田原中継所では36秒だった差は、7区では2年ぶりに箱根を走った三田裕介が1分24秒に広げた。しかし、東洋大も8区で千葉優がその差をジリジリと詰め寄り、57秒差とすると、9区では田中貴章が同区では東洋大初めてとなる区間賞を獲得する快走を見せ、トップとの差を40秒差に縮めてアンカーへとつないだ。

 10区でも東洋大は山本憲二が後半、ペースを上げて100メートル圏内に早大・中島賢士の背中をとらえ、猛追する。しかし、中島がキャプテンの意地を見せてトップの座を死守。総合新記録10時間59分51秒を樹立し、早大が18年ぶりの総合優勝を果たした。東洋大はわずか21秒差及ばず、史上6校目の3連覇には至らなかった。

 予選会をトップ通過して出場した拓殖大は同校としては最高位となる7位に入った。さらに残り300メートルで日体大、国学院大、城西大、青山学院大が3枚となったシード権を争うデットヒートを繰り広げた。まずは日体大、青山学院大がゴール。最後は途中、コースを誤ったものの、ゴール手前で城西大を抜いた国学院大が出場5回目にして初のシード権を獲得した。

 出雲、全日本では封印していた胴上げで3度、宙を舞った早大・渡辺康幸監督は「素直に嬉しいと言いたいが、東洋大は素晴らしいチームだった。山下りで高野がいい滑り出しをしていい展開にしてくれた。それでも8区以降、東洋大に猛追され、箱根で勝つのは簡単ではないと実感した。今回の優勝はチーム層のあつさが出た結果だと思う。胴上げは最高だった。このために1年間やってきたので、選手に感謝したい。また来年も2年連続で3冠できるチームをつくっていきたい」と18年前、自身が大学1年時以来となる総合優勝に喜びをかみしめた。


 往路の順位は以下の通り。
(1)早稲田大、(2)東洋大、(3)駒澤大、(4)東海大、(5)明治大、(6)中央大、(7)拓殖大、(8)日本体育大、(9)青山学院大、(10)国学院大、(11)城西大、(12)山梨学院大、(13)帝京大、(14)東京農業大、(15)神奈川大、(16)中央学院大、(17)専修大、(18)関東学連選抜、(19)上武大 (20)日本大