ラグビーの全国大学選手権は9日、東京・国立競技場で決勝戦が行われ、帝京大が早稲田大を17−12で破り、連覇を達成した。昨年、創部40周年で初優勝を果たした帝京大は強力FW陣を擁し、今回も強豪校を撃破。決勝でも関東大学対抗戦1位だった早大に主導権を渡さなかった。早大は2年ぶりの大学日本一を逃した。
「今年一番の試合ができた」
 吉田光治郎主将がそう振り返ったように、帝京大は立ち上がりから相手を圧倒した。流れをつくったのは主将のトライだ。前半6分、相手ゴール前のスクラムから吉田が駆け込み先制。その後のコンバージョンは外したものの、帝京大の攻勢に早大は自陣で反則を繰り返す。これに乗じて帝京大は前半12分、19分とペナルティーゴールで得点を追加し、11−0とリードを広げた。

 早大の反撃は23分、カウンターアタックからパスをつなぎ、井口剛志がゴール中央に飛び込む。ゴールも決まって、7−11と追い上げた。早大はこの後、何度かチャンスをつくるが、肝心なところで攻撃がつながらない。前半はこのまま4点差で試合を折り返した。

 するとリズムは再び帝京大へ。後半11分には相手陣内のラインアウトから強力FW陣が押し込むと、圧力に屈した早大DF陣がファウルを犯してしまう。ここで森田佳寿がペナルティーゴールを成功させ、14ー7と再び突き放した。さらに20分にもスクラムを押し返して相手の反則を誘い、ペナルティゴールで3点を追加。1トライ1ゴールでは追いつけない点差となった早大はトライを狙って攻め立てるが、逆にボールを奪われ、時間だけが過ぎていく。後半36分にようやく1トライを返したものの、時既に遅し。帝京大が粘る早大を振り切り、ノーサイドを迎えた。

 昨年の悲願の初優勝から1年、対抗戦では守備陣が崩壊し、早明慶のライバルに3連敗。4位に終わった。選手権の下馬評も決して高くはなかった。それだけに岩出雅之監督も「今年は厳しいことがありましたから、初優勝の時以上にうれしい」と感激の面持ちだった。連覇を達成したのは早大、同志社大、明治大、関東学院大に続いて史上5校目。「昨年のチームを完全に超えた」。苦しいシーズンを乗り越えた吉田主将の言葉には実感がこもっていた。