ラグビー・トップリーグのプレーオフ決勝が30日、東京・秩父宮ラグビー場で行われ、三洋電機ワイルドナイツがサントリーサンゴリアスを28−23で破り、初優勝を果たした。三洋はここ3年、いずれも決勝で敗れて準優勝に終わっており、4度目の正直で頂点に立った。トップリーグの前身となる全国社会人大会でも同点引き分けで優勝を分け合ったことはあるが、単独でのVは創部51年目で初めて。2月6日から開幕する日本選手権では新日鉄釜石(78〜84年)、神戸製鋼(88〜94年)の7連覇に次ぐ4連覇に挑む。
 前半、主導権を握ったのは3年ぶりの優勝を狙うサントリーだった。前半8分、CTBライアン・ニコラスがペナルティゴールをあげて先制。その後、ペナルティゴールの応酬で6−6の同点で迎えた33分にはトライを奪って勝ち越す。中央から右へ素早く展開し、最後はWTB長友泰憲が右隅に飛びこんだ。11−6。サントリーリードで試合を折り返す。

「サントリーはペースが速くて飛ばしていた。相手はバテているからチャンスはある」
 三洋・飯島均監督の読み通り、後半に入ると形勢は一気に逆転した。まず7分、ラックから右にボールを出すと、それを受けたLO北川勇次が突進。ゴール手前で倒されそうになりながらパスを出したFL劉永男が同点トライを決める。コンバージョンキックも決まって13−11と逆転に成功した。

 さらに3分後の10分、今度は左に展開すると、前方へ蹴り出したボールをWTB山田章仁が走り込んでキャッチ。そのまま左中間に飛びこみリードを広げる。その5分後の15分には、モールで相手を押し込んでトライを奪い、28−11と大きな点差がついた。

 サントリーも残り10分を切って粘りをみせる。後半33分には相手の反則に乗じて、素早い攻撃でトライをあげて反撃を開始。終了間際にも長友がこの日、2つめのトライをあげ、23−28と1トライ差まで詰め寄った。だが時、既に遅し。直後にノーサイドの笛が鳴り、三洋が逃げ切った。

「やっと届きました」
 現役時代は当時、最強だった神戸製鋼の前に何度も優勝を阻まれ、指揮官になってもなぜかトップリーグでは勝てなかった飯島監督は感無量といった表情をみせた。三洋電機は、この4月からパナソニックの完全子会社となり、来年4月までにSANYOの名称がついた製品は「Panasonic」に統合される予定になっている。現行のままラグビー部が運営されるかも未知数で、少なくともチーム名称は変更される可能性が高い。

 長年、日本のラグビー界を牽引してきた強豪、三洋電機。「これで何十年たっても優勝は三洋電機だと言える」。霜村誠一キャプテンは試合後、そう胸を張った。今度は日本選手権4連覇という歴史を「三洋電機」の名前で刻むための戦いがスタートする。