転職総合サイト「DODA」では、スポーツを通してビジネスを語る連載コラム「二宮清純のビジネス×アスリート論」を好評連載中。スポーツの観点から取り上げられたエピソードをもとに、ビジネスマンとしての心得や転職活動の方法について、二宮清純が語ります。激しい競争世界で生き抜いてきたアスリートたちから学ぶことは多いはず。二宮清純がこれまでの取材で得た彼らの思考法、成功例をビジネスにあてはめて紹介します!
CHAPTER1.「不器用長者」のすすめ

 器用貧乏という言葉がある。あれもできる、これもできるといえば聞こえはいいが、そこそこでは話にならない。逆に言えば、あれもできない、これもできないということである。

 では器用貧乏の対義語は何か。勝手につくらせてもらったが、「不器用長者」とでもなるのだろうか。何をやらせても一流とは言えないが、これだけは誰にも負けない――。ひとつ突出した能力を持つ者はしぶとく生き残り、組織に利益を与える。そんな男を二人、紹介しよう。

 ひとりは前巨人ヘッドコーチの伊原春樹。昨年までは原辰徳監督の右腕としてチームのリーグ3連覇に貢献した。西武監督時代の2002年には90勝49敗1分け、勝率6割4分7厘という圧倒的な強さでリーグ優勝を果たしている。

 この伊原、現役時代の実績はパッとしない。実働9年で450試合に出場し、189安打、12本塁打、58打点。この程度の実績の選手なら掃いて捨てるほどいる。

 しかし伊原は監督、コーチとして大成功を収め、現場を退いてからも巨人編成本部シニアアドバイザーとしてチームを裏から支えている。

 伊原にあって他の指導者にないもの――それは観察力である。

 伊原が日本一のサードベースコーチと呼ばれるようになったのは今から24年前のことである。忘れもしない巨人との日本シリーズで伊原は球史に残るプレーを演出するのである……。

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