日本オリンピック委員会(JOC)は9日、都内で会見を開き、東日本大震災で被災した地域を中心に支援活動を行う「がんばれ!ニッポン!」プロジェクトの立ち上げを発表した。会見には出席した卓球女子の福原愛選手、陸上男子の塚原直貴選手ら日本代表選手や代表経験者が出席。福原は「スポーツ選手にしかできない支援もあると思う。スポーツ選手というのはいろいろな人に支えられて競技が続けられている。今度は私たちが今まで支えてきていただいた分、少しでも被災地の皆さんに喜んでもらえるようなことができたらいい」とプロジェクトへの思いを語った。また、JOCは今回の活動と選手強化に向けて日本財団(笹川陽平会長)の支援を受けることも決まった。
(写真:会見に臨んだ卓球・福原選手(右端)、陸上・塚原選手(右から2人目)、柔道・塚田氏(左端)ら)
 今回発表された「がんばれ!ニッポン!」プロジェクトは、平成26年3月末までの3年間での実施を予定している。「スポーツから生まれる、笑顔がある。」をスローガンに、ミニ・オリンピック事業、スポーツ・五輪をテーマにした文化活動、国際総合大会でのメッセージ配信など、スポーツを通じて被災地に笑顔がうまれるような継続した支援活動を行っていく。

 なかでも注目されるのが「ミニ・オリンピック事業」だ。このミニ・オリンピックでは、さまざまなスポーツを通じてアスリート、オリンピアン、メダリスト、著名人らと地域住民とが触れ合うのはもちろん、聖火リレーや選手宣誓などでオリンピック気分を味わうこともできる。子供も大人も気軽に楽しめる「運動会」をイメージしたプログラムやアスリートによるスポーツ教室なども検討しており、各地域のニーズに応じて内容を決めていく。
「震災でほぐれてしまった地域住民の絆を取り戻すきっかけになればいい。スポーツを通して、する人、見る人、支える人のすべてが笑顔で楽しめて、心の通い合う支援活動にしたい」
 JOC・市原則之専務理事はミニ・オリンピック事業について、こう意気込みをみせた。

「実際に被災地を慰問して感じたのは、被災者の方々が運動不足になっていること。ミニ・オリンピックでは若い方からお年寄りまでがオリンピアンと共に汗を流し、さらに笑顔も取り戻せていただけたらいい」
 JOC・竹田恒和会長はミニ・オリンピックの効果に期待する。アテネ五輪柔道女子78キロ超級金メダリストで、昨年現役を引退した塚田真希氏も「(今回のプロジェクトは)すごく興味がある。汗を流すことが一番ストレス解消になると思っているので、そういう部分でお手伝いできたら嬉しい。いろいろなところで協力していきたい」と歓迎の意向だ。またミニ・オリンピックには国内のトップ選手のみならず、IOC(国際オリンピック委員会)、アメリカをはじめとする多くの国・地域の五輪委員会からも、オリンピアンあるいはメダリストを派遣するプランを寄せられているという。
(写真:「個人ではなく、組織となって支援を継続することでもっと大きな(被災地の)力になる」とプロジェクトの意義を語った福原選手)

 東日本大震災後、JOCでは被災地に対して救援物資の配布、メダリストやオリンピアンの避難所への派遣、義援金の寄付などの支援活動を行ってきた。また大勢のアスリートが様々な形で被災地に手を差し伸べている。今回はJOCが中心になり、“Team JAPAN”としてスポーツの力を結集させる考えだ。これまで日本のスポーツは多くの国民に支えられ、発展を遂げてきた。今度はスポーツがみんなの笑顔を取り戻すために、復興に向けて、被災地を応援していく。