10日に東京・後楽園ホールで行われるWBC世界ミニマム級タイトルマッチの調印式が9日、都内で行われた。2月に国内最速となるプロ7戦目での世界王座獲得を果たし、今回が初防衛戦となる井岡一翔(井岡)は「応援してくださるみなさんの期待に応えられるよう、必ずKOで勝つ」と高らかに宣言。同級では日本人初となる2試合連続の世界戦KO勝利へ自信をのぞかせた。
(写真:計量を一発でクリアし、決戦へ闘志を燃やす井岡(右)と挑戦者のエルナンデス)
 一回り大きくなった体が手ごたえの表れだ。タイトルを獲得した前回のオーレイドン・シスサマーチャイ(タイ)戦と比べて井岡は胸囲が1センチアップ。胸の厚みも増した。「計量まですべて整った。あとは勝つだけ」。落ち着いた表情には王者の自信がみなぎっていた。

 前回は本来のライトフライ級から1階級下げての世界挑戦だったため、減量に苦しんだ。今回はベルト獲得後も節制に務め、体重を53キロ程度でキープ。「前回(減量を)やって、流れを感覚的に掴めていた。スムーズに減量できた」とリミットを300g切った47.3kgで前日軽量をパスした。

 対戦相手のファン・エルナンデス(メキシコ)は同級1位の指名挑戦者。19戦18勝(13KO)と高いKO率を誇る強打のメキシカンだ。満を持してのタイトル挑戦にモチベーションは高い。この日の会見では「自分のハードパンチを信じている。いい準備をしてきたので、できれば3RまでにKOで勝ちたい」と強気の発言が飛び出した。

 その言葉を聞いた井岡は「リングに上がって向き合えば、そういう(強気な)気持ちもなくなるんじゃないですか」と全く意に介さない様子。挑戦者は「3R」と具体的に決着ラウンドを示したが、王者は「すべてのラウンドでチャンスがあれば狙っていきたい」と状況によってはさらに早い回でKOを狙うことも示唆した。

 2月の試合では国内最速で世界のベルトを巻き、記録に名を残した。それだけに今回は「記憶に残る試合」をみせることをテーマにしている。最軽量の階級ながら、両者ともにパンチに力があり、見ごたえのある打ち合いが期待できそうだ。
「自然といい試合になると思う。明日を最高の日にしたい」
 そう言って、井岡は会場を後にした。もちろん、最後に勝ち名乗りを受けるのは自分自身。「4階級を獲る」と壮大な夢を掲げる22歳が、その実力をボクシングの聖地で証明する。