10月に入り、季節はすっかり秋だ。朝晩は肌寒くなってきた。そんな時、体を温めるにはどんなことを思いつくだろうか。温かい湯船につかる、暖房器具を使用する、カイロを携帯する……。
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「一般的には熱エネルギーの活用、つまり加熱によって体を温める方法を思いつく人がほとんどだと思います」

 山本化学工業の山本富造社長は、そう前置きして続ける。
「ただ、熱エネルギーは効率が悪く、リスクも高い。お湯に浸かっても、温度が体温より5度以上高くないと、人の皮膚は温かいと感じません。しかも温め続けないと冷めてしまう。暖房器具やカイロも長時間使っていると、低温やけどを起こしてしまいます」

 熱エネルギーを使う以外に体を温める方法はあるのか。
「それが光エネルギー、つまり赤外線を使うものです」
 山本化学工業では赤外線を放射するバイオラバーを開発、販売してきた。バイオラバーは装着するだけで、赤外線の力によって体を内部から温めることができる。

 バイオラバーは加熱の必要がなく、電力など他のエネルギーに頼ることもない。着けていれば、持続的に体を温め、低体温状態を解消する。熱エネルギーの欠点を補って余りある製品なのだ。

 この赤外線、光エネルギーによる方法を、さらに模索するため、この9月には常温赤外線温熱効果研究会が発足した。東京大の渥美和彦名誉教授が最高顧問を務め、赤外線を取り扱う研究者や企業が参加する。山本化学工業も、この会に加わり、バイオラバーによる温熱効果の実例研究に協力していく意向だ。

 既に、この8月からは動物を対象にバイオラバー装着による免疫力の変化を調査、研究する試みが始まっている。
「動物は加熱に対して敏感で、拒否反応を示すことが少なくありません。つまり、熱エネルギーで体温をアップさせることが難しい。そこで光エネルギーで体温を上げ、それによって、どのくらい免疫機能が活性化されるかを調べてもらっています」

 山本化学工業では7月から愛犬用高機能ウェアとして、バイオラバーを全面使用したベスト「バイオワン」の発売を開始した。ペットの健康維持へ、バイオラバーによる温熱効果を実感している飼い主から問い合わせ、注文が寄せられているという。

「鍼灸治療を行う動物病院からも評価をいただいているんですよ」
 山本社長はペット業界でのバイオワンの浸透に手応えを感じている。
「最近はペットの世界でも鍼灸治療が広がりをみせています。しかし、筋肉が硬いままだと、鍼が思うように打てず、効率が良くないそうです。そこでバイオワンを着せて体を温め、筋肉をほぐしておけば、鍼が打ちやすい。こうした分野でも我々の製品が役に立てばと思っています」

 人間のみならず、ペットにも――。バイオラバーの可能性はとどまることを知らない。

「赤外線の効果については興味、関心を持つ人が増えてきました。この輪を広げることで光エネルギーで体を温める手段が一般的になってくることを望んでいます。体温を上昇させるに熱エネルギー以外にも方法があることを広く認識してもらいたいですね」
 山本社長は「世の中の発想を転換させたい」と未来を見つめている。

<お知らせ>

 11月5日から9日まで5日間、大阪タカシマヤで開催される「大阪ものづくり展」にて、山本化学工業のブースが出展されます。
 11月8日(日)には山本社長によるトークショーが開かれる予定です。高速水着素材の製作秘話から、バイオラバーの驚く効果まで同社の取り組みの一端を知ることができる機会になっています。どなたでも参加可能ですので、お近くの方はぜひご来場ください。時間は13時から、15時からの2回です。

山本化学工業株式会社
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