未来への大きな一歩だ。
 山本化学工業は、10月1日付で国内の競泳用水着ブランド「マーリン」を買取。本格的に競泳用水着市場に参入することを発表した。これにより、競泳用水着の素材開発から、製造、販売までを一手に引き受けることとなる。


「2008年の北京五輪用にたこ焼きラバーを開発して以来、我々の会社は世間的に水着メーカーと認識されることが増えました。実際は素材屋なのに、“山本化学の水着はないのか”という声が多いんです。特に東京五輪・パラリンピック開催が決まってから、そんな問い合わせがたびたび寄せられていました。お客さんのイメージと業務内容を一致させた方がわかりやすいと考え、買収に踏み切りました」

 同社の山本富造社長は今回のいきさつを、そう明かす。実際、練習用の「ゼロポジション水着」は、山本化学工業が製造販売しており、水着製作のノウハウや販売ルートがないわけではない。開発から販売までを一元化することで、コストダウンも可能になる。11月から受注を開始する国際水泳連盟認定の2016年最新モデルでは、ジュニアから男女用まで、全14サイズを用意。男性用では25,000円以上の販売価格になるところが、18,000円に設定された(女性用は27,000円、ともに税別)。

「東京五輪を目指す若い選手も購入しやすい値段になったのではないかと感じています。参入発表は各メディアでも取り上げられ、反響は大きいです」
 山本社長はそう自信をのぞかせる。
「練習でゼロポジション水着を活用し、正しいフォームを身につける。日常ではゼロポジションベルトを着用して骨盤を正常なポジションに矯正する。そして試合では高機能の競泳水着でタイムをアップさせる。我々の製品を3点セットで使うことでパフォーマンスを飛躍的に向上させられるのではないでしょうか」

 既にゼロポジション水着、ゼロポジションベルト、最新競泳用水着を組み合わせたトップ選手向けの取り組みは始まっている。近畿大学のパラリンピック代表候補が3つのアイテムを活用し、4年に1度の大舞台を狙う。

「障害を持つ選手、体のバランスが悪く骨盤のズレが大きいことが多いんです。ゼロポジションベルトで正しい位置にすることで、前へ進む推進力が増します。また競泳用水着では水に触れる表面のみならず、皮膚と接する内側にも親水性をもたせていますから、着脱がしやすく、体に負担がかかりません」
 山本社長はプロジェクトの成功を確信している。

 買収したマーリンブランドの最新水着は、今後、取扱店を募集する意向だが、まず11月5日から大阪タカシマヤにて先行予約の受付が決定している。同店で開催されるイベント「Best Buy Osaka!(ベスト・バイ・大阪)」の一環で山本化学工業のブースが設けられ、水着の試着も可能だ。

「これまでのどの水着とも違うことを実感してもらうには、試してもらうのが一番です。高島屋という大手の百貨店が、ひとつの窓口となってもらったことで“どこで買えるのか”“どこで試着できるのか”というお客さんの要望に応えられると感じています」

 山本社長は百貨店での取り扱いを販路拡大の一里塚ととらえている。またブースでは健康長寿を意識するシニア層を対象にメディカルバイオラバーなども販売する。同社の医療機器が百貨店で売り出されるのも初のことだ。

 発売記念イベントとして11月8日(日)には大阪タカシマヤ7階催物会場にて山本社長によるトークショーも実施される。13時からは、楽しく聞ける「世界最速に挑む最新水着秘話」、15時からは、本当に役立つ「10歳若返る秘訣とは!」と題して話が展開される予定だ。

「このイベントを皮切りに、今後も我々の製品の“違い”を実感してもらえる機会を増やしていくつもりです。1秒でも速く泳ぎたいジュニアや若者から、健康に長生きしたい高齢者まで大いにアピールしていきたい」
 トークショーでは、とっておきの話が聞けるかもしれない。お聞き逃しなく!

 

 山本化学工業株式会社
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