日本ラグビー協会は22日、9月9日に開幕するラグビーW杯ニュージーランド大会に出場する日本代表メンバー30名を発表した。主将の菊谷崇(トヨタ自動車)や3大会連続出場となる小野澤宏時(サントリー)らが順当に選ばれ、7月のイタリア遠征と21日の壮行試合(対米国)のメンバーからは西原忠佑(パナソニック)だけが落選した。前回大会に続いて出場するのは小野澤に加え、大野均(トヨタ自動車)ら7名。会見でジョン・カーワンヘッドコーチは「フランス、ニュージーランドとは接戦に持ち込み、トンガ、カナダには勝つ」と改めて目標を「2勝」に設定し、「トップ8に入る、もしくはトップ8のドアを叩くくらいのチームにしたい」と強い決意を語った。
(写真:代表メンバーひとりひとりを順番に読み上げるカーワンHC)
「最高の成績が残せるように頑張りたい。またそういうメンバーが揃ったと自負している」
 日本代表の太田治ゼネラルマネジャーが胸を張る陣容だ。選ばれた30名にサプライズはなく、カーワンHCも自らが語ったように2007年の就任以降、「お互い熟知している仲間を選ぶことを優先した」顔ぶれになっている。それだけにチームの成熟度はこれまでになく高い。

 ジョン・カーワンヘッドコーチも「チームの方向性が明確になってきた。それを理解している人間がここ(代表)に集まっている。今のメンバーでうまくいっている」と手ごたえを感じている。就任1年足らずで臨んだ前回のフランスW杯と比較して、「コンビネーションの部分、スタイルが構築された。ストロングや速さの部分も上がってきている」と代表のレベルアップを口にした。

 その成果は結果にも表れている。7月に開催された環太平洋諸国によるパシフィック・ネーションズカップではW杯でも対戦するトンガ、ランキング上位のフィジーを破り、2勝1敗で初優勝。その後も遠征でイタリアと対戦し、帰国してからは米国と壮行試合を行って実戦を積んだ。21日の米国戦は一時リードを許す苦しい展開だったが、「(逆転で)勝って課題が見えたことは成長した証拠。数年前なら、まず負けていた」とカーワンHCは評価する。

 カギを握るのは3分の1にあたる10名を占める外国出身選手になりそうだ。
「外国人を使って日本のラグビーが成長することを考えている。日本のランクを上げるには彼らの力を借りる段階にある」
 そうカーワンHCが明かすように、重要なポジションには外国出身のメンバーが並ぶ。司令塔に当たるスタンドオフには英国ノッティンガムでプレーするジェームス・アレジ、パシフィック・ネーションズカップで評価を上げたマリー・ウィリアムスといずれもニュージーランド出身の選手が選ばれた。

 目標であるW杯初の2勝を達成するには初戦のフランス戦が、その後の戦いを大きく左右する。
「接戦に持ち込むにはディフェンスが大切。そしてジャパンスタイルを全うすること。待たずに自分たちから爆発的に戦うこと。アタックでもディフェンスでもやりきることが大事」
 指揮官は初戦のポイントを次々とあげた。カーワンHCにとっても開催地のニュージーランドは母国にあたる。第1回のW杯でニュージーランド代表として地元を沸かせた男が、今度は桜の戦士たちを率い、世界を驚かせるつもりだ。

 1次リーグでプールAに入った日本は8月30日に現地へ出発。9月10日にフランス、16日に開催国ニュージーランド、21日にトンガ、27日にカナダと対戦する。各プール上位2カ国が決勝トーナメントへコマを進める。

<日本代表メンバー30名>

【FW】
PR
平島久照(神戸製鋼)
川俣直樹(パナソニック)
畠山健介(サントリー)
藤田望(ホンダ)
HO
青木佑輔(サントリー)
堀江翔太(パナソニック)
湯原祐希(東芝)
LO
大野均(東芝)
北川俊澄(トヨタ自動車)
トンプソン・ルーク(近鉄)
ジャスティン・アイブス(パナソニック)
FL
菊谷崇(トヨタ自動車)
マイケル・リーチ(東芝)
バツベイ・シオネ(パナソニック)
NO8
ホラニ龍コリニアシ(パナソニック)
谷口到(神戸製鋼)

【BK】
SH
田中史朗(パナソニック)
吉田朋生(東芝)
日和佐篤(サントリー)
SO
ジェームス・アレジ(ノッティンガム)
マリー・ウィリアムス(豊田自動織機)
CTB
今村雄太(神戸製鋼)
ニコラス・ライアン(サントリー)
平浩二(サントリー)
アリシ・トゥプアイレイ(キヤノン)
WTB
小野澤宏時(サントリー)
遠藤幸佑(トヨタ自動車)
宇薄岳央(東芝)
FB
ウェブ将武(コカコーラウエスト)
Utility BK
上田泰平(ホンダ)