どうもメジャーリーグ関係者は日本のプロ野球を植民地扱いしたいようだ。
 先頃、労組・日本プロ野球選手会が、13年3月開催予定の第3回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に、条件が改善されない場合、出場しないことを全会一致で決議した。

「今の不公平な条件のままでは、日本プロ野球の発展のためにも次回出られないということで一致した。選手全員の意思です」(新井貴浩会長)
 よくぞ言った。というより、言うのが遅過ぎたくらいだ。

 第2回大会で日本代表が連覇を果たした後、当コラムで私はこう書いた。
<大会の成功に最も貢献したのは優勝した日本、2番目は準優勝の韓国だろう。両国は5回対戦し、計17万3529人の観衆を集めた。
 客観的に見れば、日本と韓国を抜きにしては、もはやWBCは成り立たない。
 にもかかわらず、収益の配分率はMLB機構とMLB選手会が3分の1ずつ、すなわち米国だけで66%を確保しているのに対し、日本は13%、韓国は9%だ。あまりにも不公平ではないか。>

 今回、選手会が要求しているのは配分比率の改善ではなく代表チームに関するライセンシング権とスポンサー権の譲渡である。前回までは大会の運営会社WBCIがこれらを管理し、先述したように収益の一部を日本などに分配していた。
 考えてみれば、これも変な話だ。オリンピックなどでは通常、代表チームに関する権利は、その国の競技団体に帰属する。「なでしこジャパン」の場合は、当然、日本サッカー協会だ。
 それすらも認めていないWBCIのやり方に選手会が反発するのは当然のことだ。そうでなくてもNPB(日本プロ野球組織)の台所事情は苦しいのだ。

 アメリカの、アメリカによる、アメリカのためのWBC。アメリカの野球版ユニラテラリズム(一国中心主義)に今こそ「NO」を突きつけるべきだ。

<この原稿は2011年8月15日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

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