柔道の世界選手権が23日、フランス・パリで開幕した。前回の東京大会で過去最多の金メダル10個を獲得した日本勢は女子48キロ級でランキング1位の浅見八瑠奈(コマツ)が連覇を達成。福見友子(了徳寺学園職)との2年連続の決勝を制し、ロンドン五輪の代表争いで一歩リードした。また男子66キロ級では海老沼匡(明治大)が決勝で一本勝ちし、初優勝。男子60キロ級では平岡拓晃(了徳寺学園職)が準決勝までオール一本で勝ち進んだが、決勝では前回覇者のリショド・ソビロフ(ウズベキスタン)に残り7秒で技ありを奪われ、銀メダルとなった。日本は初日を金2個、銀2個で終了し、幸先のよいスタートを切った。
 女子48キロ級の頂上決戦は再び浅見に軍配が上がった。昨年の世界柔道で福見に指導2つで優勢勝ちを収めて1年。一躍、五輪の代表争いに名乗りをあげた女王は、その座を守るのではなく、攻め切って2年連続の金メダルを手にした。

 立ち上がりから浅見は足技を仕掛け、福見を崩しにかかる。以前は福見に組み手で主導権を握られることも多かったが、相手に充分の体勢を取らせなかった。防戦気味の福見に残り1分となったところで指導が入る。これで流れを完全につかんだ。焦る相手に残り30秒を切って繰り出したのは大内刈り。足が揃ってしまった福見が倒れ、「有効」を奪った。昨年とは異なり、技でポイントをあげた文句なしの連覇だった。

 昨年の初優勝以降は重圧との戦いでもあった。負けられないプレッシャーからか動きが重く、世界柔道後、初の国際大会となった昨年12月のグランドスラム東京では準々決勝で敗れた。だが、この日は尻上がりに調子を上げ、ライバルとの再戦を制した。
「まだロンドンが決まったわけではない。気を引き締めて頑張りたい」
 そう語った浅見だが、これでランキング1位もキープ。五輪代表入りへ大きな優勝となった。