4日、「FIVB(国際バレーボール連盟)バレーボールワールドカップ(W杯)2011」が開幕した。眞鍋政義監督率いる日本は初戦、世界ランキング7位のイタリアと対戦。昨年から4連勝中と相性のいい同国を初戦の相手として自ら選択したものの、1−3と敗戦。まさかの黒星スタートとなり、来年のロンドン五輪への切符獲得は厳しい状況となった。
日本 1− 3 イタリア
(20−25、25−23、18−25、15−25)

 指揮官が最も重視していた初戦のイタリア戦。この試合で幸先いいスタートを切ることが、ロンドンへの道に近づく絶対条件だったと言っても過言ではなかった。選手もそのことは十分にわかっていただろう。しかし、昨年の世界選手権で32年ぶりのメダル獲得に大きく貢献したセンター陣2人を故障で欠く厳しい状況下、不調が続くエースのWS木村沙織がこの試合でも得点率を上げることができずに苦しい展開となった。それでも若手が思いきりのいいプレーで奮起した。WS江畑幸子が昨年の世界選手権からさらに成長した姿を披露すると、オポジットのポジションに入ったニューフェースWS新鍋理沙も、173センチの身長ながら相手ブロックをうまく使った巧みなスパイクで会場を沸かせた。しかし、最後は自らのミスで相手に主導権を与えるかたちとなった。

 エースのWSセレーナ・オルトラーニを故障で欠き、4連敗中の日本とのアウエー会場での開幕戦。こうした不利な状況下でイタリアはベテラン勢をそろえて挑んできた。そのベテラン勢がパワーある攻撃に加え、鉄壁の守りを見せる。一方、日本もサーブレシーブを始め、守備の良さが光った。そのため、中盤までは激しい攻防戦となり、どちらも全く譲らないがっぷり四つの展開となった。

 しかし終盤、抜け出したのはイタリアだった。17−17からエースの代役として出場したWSルチーア・ボゼッティが強烈なスパイクで2連続ポイントを奪う。日本もキャプテンのMB荒木絵理香が得点源のWSカロリーナデルピラール・コスタグランデのスパイクをブロックするなど粘りを見せた。だが、サーブレシーブが崩れて相手にダイレクトで決められ、セットポイントを与えると、最後はWSアントネッラ・デルコーレのスパイクがブロックアウトとなり、イタリアがこのセットを奪う。このお互いのプライドがぶつかり合った激しい競り合いをモノにしたのは、4連敗中のイタリアにとっては大きかったに違いない。

 第2セット、日本はいきなり新鍋のブロックが決まる。すると、これに江畑、木村とサイド陣が続き、3連続ポイントを奪った。その後もレフトから江畑、ライトから新鍋が次々とスパイクを決め、得点を重ねていく。何度も同点にまでは追いつかれるものの、一度もイタリアにリードを許さず、常に日本が先行するかたちとなった。それでも最後は粘るイタリアに苦しめられる。24−21とセットポイントを迎えた日本だったが、イタリアに2連続ポイントを奪われ、1点差に詰め寄られた。この苦しい状況を救ったのはキャプテンだ。木村のスパイクが何度もイタリアの守備に阻まれた中、S竹下佳江が最後にトスを上げたのは荒木。ライトからのスパイクがブロックアウトとなり、日本がなんとか競り勝った。しかし、このセットから徐々に出始めていたミスが、第3セット以降、チームを苦しめるようになる。

 セットカウント1−1で迎えた第3セット、序盤はイタリアにミスが続き、6−2と日本がリードを奪った。ところがタイムアウト後、息を吹き返したイタリアに5連続ポイントを奪われ、あっさりと逆転を許してしまった。さらに中盤以降は日本にミスが相次いだ。木村、ピンチサーバーで入ったS中道瞳、江畑と、次々とサーブをミスし、相手に得点を与えたのだ。そして、最後もWS狩野舞子のサーブがアウトとなり、嫌なかたちでこのセットを落とした。

 そして第4セット、もう後がない日本はそれまでなかなか得点できずにいたエース木村がサーブ、バックアタック、レフト攻撃と得点し、序盤はいいかたちでの攻防戦が続いた。ところが、またもサーブ、サーブレシーブにもミスが続き、徐々に流れはイタリアへと傾いていった。そして守備でのミスが攻撃にも影響を及ぼし始める。江畑、新鍋のスパイクがイタリアの高い壁に阻まれると、木村もスパイクを2本連続でミスする。さらに13−16からイタリアに5連続ポイントを奪われると、眞鍋監督はエースの木村を下げるという荒療治を行なった。しかし、それも実らなかった。2本連続でサーブレシーブをミスしてイタリアのマッチポイントを迎えると、最後はエースに代わって入ったWS石田瑞穂のサーブがアウトとなり、ゲームセット。自らのミスで最後まで流れを引き寄せることができなかった日本。気持ちを切り替え、明日のアルゼンチン戦で巻き返しを図る。