18日、「FIVB(国際バレーボール連盟)バレーボールワールドカップ(W杯)2011」の最終戦で日本は、世界ランキング2位、3大大会初の金メダルを狙う米国と対戦。スパイク到達点が320センチ以上の高さを誇る選手がズラリと並ぶ米国だったが、守備力で勝った日本がストレート勝ちを収めた。日本は4位と、今大会での五輪出場権獲得には至らなかったが、来年の世界最終予選へ向けて最高のかたちで終えた。

日本 3−0 米国
(29−27、25−235、25−18)
 この日、中国がドイツを破り、残る1枚の切符を獲得。この大会でのロンドンへの出場権獲得の可能性を失った日本だったが、集中力は全く切れていなかった。第1セットから米国と息の詰まるような熱線を繰り広げ、会場を沸かせた。
金メダルへの意気込みが強すぎるのか、かたさがみられる米国に対し、日本は伸び伸びとプレーする。ラリーの末に米国のダイレクトスパイクがアウトとなって日本に先取点が入ると、WS山口舞、WS江畑幸子が連続ポイントを奪い、3−0とリードする。

 しかし、米国はベテランのWSローガン・トムが連続ポイントなどで、すかさず逆転する。すると、日本は米国の高い壁を意識しすぎたのかWS木村沙織、江畑とスパイクをミスし、リードを広げられた。しかし、日本は高い打点からくる強烈なスパイクを次々と拾い上げ、自分たちのチャンスへとつなげ、米国に食らいついた。22−24と米国がセットポイントを迎えるも、MB荒木絵里香のブロード、木村のレフトスパイクで同点に追いつく。その後は1点を争う攻防戦が繰り広げられ、27−27に。ここで米国は痛恨のサーブミスをし、これが明暗を分けた。日本は2度目のセットポイントを迎えると、江畑がきっちりとスパイクを決め、このセットを取り切った。

 3度のセットポイントを迎えながら、第1セットを落とした米国は第2セット、焦りを募らせた。このセットを失えば、たとえ日本を破ったとしても3大大会初の金メダルは潰えてしまうからだ。中盤まではサイドアウトの取り合いとなった第2セット、14−14から日本は木村のサーブで米国の守備を乱すと、MB岩坂名奈がネット際に上がったボールをダイレクトで決める。さらに江畑のスパイクも決まり、日本がリードする。米国も途中出場のベテラン32歳、WSタイーバ・ハニーフが強烈なスパイクを決め、なんとかチームに勢いを取り戻させようと奮起する。それに応えるかのように、米国は24−20という崖っぷちから3連続ポイントを奪って1点差に詰め寄った。しかし、ここで江畑がレフトから見事なクロススパイクを決め、日本が連取。この瞬間、イタリアの連覇達成が決定し、米国は3大大会初となる金メダルを逃した。

 続く第3セット、試合の主導権を握ったのは日本だった。序盤から江畑が立て続けにスパイクを決めると、岩坂が2メートルのハニーフをブロックで止める。さらに岩坂はサーブでもエースを取るなど、2人の若手の活躍もあり、日本は流れを引き寄せていった。米国はスパイク到達点320センチのWSメーガン・ホッジや、同331センチのWSフォルケ・アキンラデウォが強烈なスパイクを日本のコートに叩きつけ、追い上げを図った。しかし、終盤は日本の勢いに完全に押されるかたちとなった。21−18から日本は江畑がバックアタックを決めると、岩坂、木村と連続でブロックポイントを奪い、マッチポイントを迎える。そして、最後は木村が技ありのワンタッチでポイントを奪い、日本が世界ランキング2位の米国をストレートで破る大金星を挙げた。

 日本は対戦成績を8勝3敗、勝ち点24で4位。ロンドン五輪への切符は来年の世界最終予選までお預けとなった。しかし、今大会で得たものは決して小さくはない。主力の故障もあり、開幕前はチーム力に不安の声もあったが、キャプテン荒木の復活、岩坂、WS新鍋理沙と若手の台頭、さらには昨年の世界選手権でブレイクした江畑の進化と、チームは確実に強さを増した。来年の世界予選では、どんな“火の鳥NIPPON”が見られるのか。ロンドンへの戦いはまだ続く。