第88回東京箱根間往復大学駅伝競走は2日、第1日目となる往路5区間(108.0キロ)でレースが行われ、東洋大が4年連続で往路を制した。東洋大は2区で先頭に立つと、そのまま一度もトップの座を明け渡すことなく、昨年マークした新記録を更新し、往路4連覇を達成。2年ぶりの総合優勝に向けて、明日はトップで芦ノ湖をスタートする。連覇を狙う早大は2区で東洋大に逆転されるも、2位の座を死守。昨年11月の全日本大学駅伝を制し、“史上最速”と謳われた駒澤大は4位でフィニッシュした。
 1キロを2分30秒と、非常に速いペースでスタートした1区。1年生ながら区間賞をとった大迫傑(早稲田大)が集団を牽引する。その大迫が5キロ地点から、さらにペースを上げると、集団は徐々に縦長へとなっていった。大迫、そしてその後ろにピタリとついていった同じ2年生の服部翔大(日体大)が後続を引き離していく。しかし、服部は11キロ過ぎから遅れ始める。大迫は終盤、ややスピードは落ちたものの、そのままトップを守り、昨年よりもタイムを縮める好タイムで2年連続での区間賞で連覇に弾みをつけた。一方、服部は徐々に3位集団に距離を詰められていった。19キロ過ぎには優勝候補の一角、駒澤大の撹上宏光がペースを上げ、鶴見中継所には服部とほぼ同時に入った。さらに往路4連覇を狙う東洋大の宇野博之はトップの早大と31秒差の4位で2区へとたすきを渡した。

 各チームのエースが集う“花の2区”では駒大、日体大、東洋大が2位集団を形成した。さらに1キロ地点で城西大の橋本隆光が加わり、4人で先頭をいく平賀翔太(早大)を追った。前半、快調に走っていた平賀は8.3キロの地点では50秒差と2位集団との距離を離した。ところが、16キロ過ぎに異変が生じる。苦痛の表情を浮かべ、右腹をおさえる平賀。明らかにペースが落ちた平賀を集団から抜け出した2位の設楽啓太(東洋大)がその差をグングン縮めていった。19キロ過ぎ、ついに設楽が平賀をとらえると、下り坂を利用し、一気に引き離した。設楽はそのままトップで3区へとたすきを渡した。12秒差で平賀、3位には12位から9人抜きで青学大として初の区間賞を獲得した出岐雄大が入った。

“山の神様”柏原竜二が待ち受けている5区の前に、何としても追いつき、逆にリードを広げたい早大は、3区の矢澤曜がジワリジワリと山本憲二(東洋大)との距離を縮め、5キロ付近で並ぶ。ここから4年生同士の激しいトップ争いが繰り広げられた。常に主導権を握った山本が12キロ過ぎ、矢澤を引き離しにかかった。懸命に追いすがろうとした矢澤だったが、序盤のハイペースが影響したのか、その差は徐々に広がっていった。結局、山本は矢澤に1分3秒差をつけて、同大としては初めてトップで平塚中継所を通過した。同区で区間新をマークしたのは、オンディバ・コスモス(山梨学院大)。08年に竹沢健介(早大)がマークした記録を2秒上回る1時間1分38秒で、同大を16位から9位にまで順位を上げた。

 4区では1年生の田口雅也(東洋大)が区間賞となる54分45秒の好記録で2位の大串顕史(早大)を1分54秒差をつけて、山登りのエキスパート柏原にたすきを渡した。4年間で初めてトップで小田原中継所をスタートした柏原は、落ち着いた表情で後半の上りに余力を残すように、ゆったりと走っていく。上りに入ると、トレードマークの険しい表情を浮かべ、頭を激しく上下に揺さぶる柏原。それでも後続との差を広げ、終盤に入ると、徐々にペースを上げていった柏原。結局、4年連続での区間賞、2年前自らが樹立した区間記録を約30秒上回る1時間16分39秒の区間新でゴールした。東洋大は5時間24分45秒の往路新記録で4年連続の往路優勝を達成した。

 激しい競り合いが演じられた2位争いは、9キロ手前で大江啓貴(明治大)が山本修平(早大)を抜くも、その後、山本が再び2位の座を取り戻し、大江を引き離した。しかし、19キロ手前で大江が山本を抜き、さらに22キロ手前で山本が大江を抜くデッドヒートを繰り広げた。最後は山本が大江に14秒差をつけてゴール。明日の復路では連覇を目指し、東洋大の5分7秒後にスタートする。

 往路の順位は以下の通り。
(1)東洋大、(2)早稲田大、(3)明治大、(4)駒澤大、(5)城西大、(6)山梨学院大、(7)青山学院大、(8)東海大、(9)國學院大、(10)関東学連選抜、(11)日本体育大、(13)中央大、(13)順天堂大、(14)国士舘大、(15)神奈川大、(16)上武大、(17)帝京大、(18)中央学院大、(19)拓殖大、 (20)東京農業大