29日、ロンドン五輪女子マラソンの国内選考会を兼ねた「第31回大阪国際女子マラソン」が、大阪・長居陸上競技場を発着点に行われ、重友梨佐(天満屋)が2時間23分23秒でマラソン初優勝を果たした。タチアナ・ガメラシュミルコ(ウクライナ)が2位、3位には野尻あずさ(第一生命)が入った。残る代表選考会は3月の名古屋ウィメンズとなる。
 日本女子マラソン界にまた、ニュー・ヒロインが誕生した。それは、招待選手の中で最も自己ベストが遅い重友だ。アテネ五輪金メダリストの野口みずき(シスメックス)が欠場し、福士加代子(ワコール)が優勝候補と目されていた今大会。レースはスタート直後から、福士、坂本直子(天満屋)、野尻らが先頭集団を形成し、重友もしっかりその中に入った。

 5キロの通過タイムは16分55秒。ペースメーカーに牽引され、1キロを3分20秒前後のペースでレースが展開していく。6人のトップグループの中で重友は中盤の位置、福士は集団の一番後ろで状況をうかがっていた。1キロのペースは依然変わらず、10キロを33分48秒で通過。11キロ地点では先頭集団から1人脱落し、5人の日本人選手がレースを引っ張る。

 15キロを50分35秒で通過後、アテネ五輪代表の坂本ら2人がトップグループから遅れ、福士、重友、野尻の三つ巴の展開となった。しかし、19キロ地点で1キロのペースが3分19秒に上がると野尻が遅れ始める。

 トップ集団は20キロを1時間7分18秒で通過。粘りを見せていた野尻が20.5キロ付近でトップ争いから脱落、22キロ過ぎでペースメーカーも外れて福士と重友の一騎打ちの展開に変わった。

 福士が重友の後ろを走る状況が続き、25キロの通過タイムは1時間24分3秒。熾烈な争いが続くかと思われたが、26.5キロ付近で福士が徐々に遅れをとり始める。3メートル、5メートルと差が開いていき、30キロを通過した時点で重友の独走状態となった。

「後ろの様子が分からなかったので、リズムを崩さないようにすることしか考えていなかった」
 レース後にこう語ったように、重友は一人旅となった後もペースをキープ。35キロ付近から1キロのタイムが3分30秒前後に落ちたものの、走りのリズムを崩さない。結局、独走状態のまま長居陸上競技場に戻ってきた重友。大観衆の声援を一身に浴びて、笑顔で両手を突き上げながらゴールテープを切った。タイムは2時間23分23秒。これまでの自己ベストだった2時間31分28秒を大幅に更新。横浜国際女子マラソンで優勝した木崎良子(ダイハツ)の2時間26分32秒を上回る結果を出した。
「五輪は夢の舞台なので、少しでもアピールができたならよかった」
 独走状態でも自分の走りを貫いた重友が、五輪代表の最有力候補へ一気に躍り出た。

上位の成績は以下のとおり。

1位 重友梨佐(天満屋) 2時間23分23秒
2位 タチアナ・ガメラシュミルコ(ウクライナ) 2時間24分46秒
3位 野尻あずさ(第一生命) 2時間24分57秒
4位 堀江知佳(ユニバーサルエンターテイメント) 2時間28分35秒
5位 嶋原清子(セカンドウィンドAC) 2時間29分51秒
6位 佐藤由美(資生堂) 2時間32分49秒
7位 アイリーン・モガカ(ケニア) 2時間35分36秒
8位 ローレン・シェリー(オーストラリア) 2時間35分57秒
9位 福士加代子(ワコール) 2時間37分35秒
10位 坂本直子(天満屋) 2時間39秒27秒