横浜DeNAベイスターズの新入団選手発表が29日、横浜市内のホテルで行われ、先のドラフト会議で指名を受けた11名の選手たちが会見に臨んだ。新生ベイスターズの第1期生は、この日、発表されたピンストライプの新ユニホームで登場。ドラフト1位の153キロ右腕・北方悠誠(唐津商高)は「真っすぐをアピールして少しでも早く1軍昇格したい」と抱負を語った。
(写真:中畑監督(後列中央)の音頭で「イェイ」とポーズをとって記念撮影する選手たち)
 新入団選手発表は例年、12月上旬に実施されていたが、今回は球団買収で準備が整わず、キャンプ直前の開催となった。晴れの舞台にやや緊張気味の選手たちをリードしたのが中畑清新監督だ。冒頭の挨拶では、「選手紹介の際に11人のうちひとりも“お願いします”と挨拶したヤツがいなかった」といきなりのダメ出し。「自分から“使ってもらいたい”とアピールして元気よくやってもらいたい」と熱いエールを送った。

 そんな指揮官の熱さに触発され、会見が進むにつれて選手たちも徐々に個性を発揮。ドラフト3位指名の渡邊雄貴(関西高)は、中畑監督がノック中の呼び捨てを容認したことを引き合いに出し、「1日も早く1軍に上がって、監督さんのノックを受け、タメ語で“キヨシ”と呼びたい」と宣言するなど会場内はたびたび笑いに包まれた。トークセンスも十分な新人たちの姿に指揮官の評価も一転。「瞬時に質問に答えられる頭の良さを感じた。野球は瞬間瞬間で対応が問われるスポーツ。状況判断の面で長けていると安心した」と語り、「今日のところは全員、合格」と目を細めた。

 四国アイランドリーグPlusの香川オリーブガイナーズから揃って入団した育成1位の冨田康祐、同2位の西森将司も元気よく決意表明。右腕の冨田は「ハマの○○と自分でニックネームをつけてほしい」との記者のリクエストに対し、「ハマの、ではなく、セ・リーグを代表する投手、球界を代表する投手になりたい」と力を込めた。合同自主トレ期間中に既に8度、ブルペンに入っており、キャンプインへ準備は整った。「ユニホームは戦闘服なのでスイッチが入った」とはやる気持ちを抑えられない様子だった。

 捕手の西森はNPBで対戦したい打者として巨人の長野久義の名前をあげた。香川に入団する前、ホンダに所属していた西森は、日大から進んだ長野と1年間、同じチームでプレー。「めちゃめちゃいい人だが弱点は知っている。巨人戦で使っていただければ抑える自信があります。お願いします」と中畑監督に起用を“直談判”した。すると指揮官からは「それだけじゃダメだぞ」と厳しい一言。長野を抑えるリードをするには、まず支配下登録されることが先決だが、「キャッチャーだが足にも自信がある。走塁のうまさも見てほしい」とアピールを忘れなかった。

 今季入団する11選手のうち、8名が高校生と新生ベイスターズは若い力で再出発をはかる。中畑監督は「(新人合同自主トレで)初めて彼らの姿を目にした時は、まだプロ野球のレベルではないのかなと不安だった。でも、ここ何日かで1年目にして1軍の枠に入ってくるのではないかなと思わせる選手も出てきた」と新戦力の台頭に期待を寄せた。会見に先立って新人選手も参加した新ユニホームのお披露目イベントには球団発表で2000人のファンが集結。新球団に対するハマっ子の関心は高い。池田純球団社長は「若いチームなのでチャンスはある。実力をつけることはもちろん、ファンの方々ひとりひとりを自分のファンにする意識を持ってもらいたい」と人気面でもチームを牽引することを望んでいる。
(写真:中畑監督は「今いるメンバー全員がライバル。ここからがスタート」と競争意識を持つよう呼びかけた)

 2月1日から始まる春季キャンプでは11選手全員が2軍スタート。まずは1軍に昇格し、新チームの一番星になるべく、1年目のシーズンが間もなく幕を開ける。