3年ぶりに京王閣競輪場で開催される今年の『KEIRINグランプリ』(30日)は9人のメンバー中、7名が昨年に引き続いて出場となる。初出場は岡田征陽ひとりだ。実力者がズラリと顔を揃えるものの、意外なことに、このビッグレースを過去に制した者は誰もいない。2012年最後の大一番でゴールラインを真っ先に駆け抜け、優勝賞金1億円を手にするのは果たして誰か? 当サイト「INSIDE格闘技」の執筆者で、競輪シーンを追い続けるスポーツジャーナリスト近藤隆夫が、ズバリ予想する。
☆近藤隆夫・大予想☆

「深谷(知広)君と連係します。僕が後ろで」
 27日、グランプリシリーズの前検日に(8)浅井康太が、そうコメントしたことで、すべての並びがハッキリとした。

(1)武田−(6)長塚−(7)岡田(関東ライン)
(2)佐藤−(5)山崎−(3)成田(東北ライン)
(9)深谷−(8)浅井(中部ライン)
 そして(4)村上は昨年同様、単騎となる。

「僕の敵は(ラインの先頭を走るという意味で)3人(佐藤、深谷、村上)ですか。レースのイメージは、まだできていません」と(1)武田豊樹は言った。
「これから考えます。悔いの残らないレースをしたい」
 そう(2)佐藤友和は話した。その口ぶりから、2人に「先行で勝負する」との意識が薄いことがわかる。
 
 今年の大一番、ライン2車ではあるが、先行するのは(9)深谷ではないかと私は思う。
 前夜祭(19日)の後、深谷と浅井は3日間、合宿を行った。そこで互いに絆を深め、浅井は深谷に前を任せることを決めたのだ。

 思い出すのは昨年のグランプリ。
 山口幸二は直前まで位置を迷っていた。中部ライン(深谷−浅井)の3番手を回るか、それとも単騎を覚悟している村上義弘の番手に着けるか。中部の3人は本番直前に合宿を行い、そこで山口が出した結論は「深谷−浅井の3番手を回る」こと。結果、優勝賞金1億円は山口が手にしたのである。
「中部ラインの絆を大切にしたい」
 大先輩の山口にそう言われて、深谷はド先行をためらわなかった。

 ならば今年も同じだろう。
(8)浅井の前で(9)深谷が京王閣の冷たい空気を切り裂いて駆ける。(4)村上が、その2人の後ろにつけるだろうが、実は3番手から捲くられる可能性は低い。(4)村上は先日、練習中に落車し、肋骨を痛めてしまっている。ハッキリ言えば今年の(4)村上はコンディション的にノーチャンスだ。場所が平塚から京王閣に移っても中部の強固な絆は変わらない。(9)深谷の後ろから(8)浅井が突っ込む……そのシーンがイメージできる。

 ただ、「この9選手の中で誰が一番、脚があるのか」と問われたならば答えはハッキリしている。(1)武田である。その次が(6)長塚智広。この2人は車券に絡めないわけにはいかないだろう。(1)武田は強い。でもグランプリの女神は、ここ数年来、なぜか茨栃勢には微笑まない。

 かつて栃木の神山雄一郎は、あんなにも強かったにもかかわらず、4年連続(1995〜98年)の2着で頂点には立てなかったのだ。昨年の武田も痛恨の2着――。

 さて私の予想だが、
<2車単>(8)−(1)、(8)−(6)
<3連単>(8)−(1)から(6)(2)(3)(5)、(8)−(6)から(1)(7)(2)(5)

 今年もやはりラインではなく、「筋違い」での決着が濃厚な気がする。

<KEIRINグランプリ2012出走表>

12月30日(日)16時30分発走
京王閣競輪場11R、2825m(7周)

○  1[1] 武田豊樹 茨城 88期 38歳 4年連続5度目 高松宮記念杯、競輪祭優勝
▲  2[2] 佐藤友和 岩手 88期 29歳 3年連続5度目 寛仁親王牌優勝
  ○3[3] 成田和也 福島 88期 33歳 2年連続2度目 日本選手権優勝
  ×4[4] 村上義弘 京都 73期 38歳 3年連続6度目 賞金ランキング7位
△  4[5] 山崎芳仁 福島 88期 33歳 2年ぶり6度目 オールスター競輪優勝
×  5[6] 長塚智広 茨城 81期 34歳 2年連続2度目 賞金ランキング4位
  ◎5[7] 岡田征陽 東京 85期 32歳 初出場 賞金ランキング9位
◎△6[8] 浅井康太 三重 90期 28歳 2年連続2度目 賞金ランキング8位
   6[9] 深谷知広 愛知 96期 22歳 2年連続2度目 賞金ランキング5位

・印は近藤予想、二宮清純予想の順
・枠番、車番、選手名、出身地、期別、年齢、出場回数の順に記載(ランキングは競輪祭終了時点)
※必ず主催者発表のものとご確認下さい。