全日本柔道連盟は30日、女子日本代表の園田隆二監督らを戒告処分にしたと発表した。園田監督や代表コーチには代表の強化合宿などで選手への暴力行為や暴言があったと告発する文書が、選手側から日本オリンピック委員会(JOC)に提出されていた。全柔連は園田監督らへの調査の結果、選手の訴えがほぼ事実であることを認め、処分を下した。監督やコーチ陣の交代は行わない。
 代表レベルの選手指導にも暴力が用いられている実態が明るみに出た。
 大阪・桜宮高で男子バスケットボール部の顧問教師の体罰を苦に生徒が自殺した問題が明らかになって以降、スポーツ界における指導のあり方は大きな議論を呼んでいる。そんな中、五輪で36個の金メダルを獲得している日本のお家芸で、ロンドン五輪にも出場した選手を含む15名が、監督、コーチのパワーハラスメント行為を訴えた。

 園田監督は女子強化コーチを経て、北京五輪後の08年11月より女子代表監督に就任。昨夏のロンドン五輪では57キロ級の松本薫(フォーリーフジャパン)の金メダル1個(他に銀、銅各1個)と成績が低迷したが、続投が決定していた。

 選手たちは代表に選ばれなければ五輪をはじめとする国際大会に出られなくなる。たとえ監督やコーチに行き過ぎた指導があっても告発するのは容易ではない。それでも今回、選手たちがJOCに訴え出た背景には、よほど我慢できない理由があったのだろう。

 告発は昨年末に出されており、全柔連の処分も既に17日に下されていたという。しかし、全柔連はその事実をこれまで公表してこなかった。柔道は言うまでもなく日本の伝統武道であり、少年少女も含めた多くの競技者数を誇る。日本のスポーツ界を牽引する団体の“隠蔽”ともとられかねない対応も問題となりそうだ。