男子ゴルフのメジャー大会である全英オープン選手権が21日、英国ガレーンのミュアフィールド・リンクスで最終日を迎え、初出場の松山英樹がスコアを1つ伸ばして通算2オーバーとし、6位タイに入った。同オープンで日本人がトップ10入りしたのは2006年の谷原秀人(5位)以来で、21歳での10位以内は最年少。初出場では76年の鈴木規夫(10位)に次いで2人目のトップ10入りを成し遂げた。松山は6月の全米オープンでも初参戦で10位になっており、メジャー大会で連続してトップ10入りするのは日本人初の快挙となった。優勝はただひとりアンダーパーとなる3アンダーをマークしたフィル・ミケルソン(米国)だった。
 過去、日本人が何度も跳ね返されてきた世界の高い壁が、180センチの松山の前では低く見える。
 今大会は、プロ転向前の3月にアジア地区予選で2位に入り、出場資格を得ると、初日をイーブンパーでまとめる。2日目は2オーバーに後退したが、20位で予選を通過した。今回、日本からは片山晋呉、藤田寛之や谷口徹ら実績ある選手たちが参戦したものの、松山以外で決勝に進んだのは片山(8オーバー)だけだった。

 注目を集めたのは3日目だ。安定したショットで序盤からパーセーブを重ね、9番では2オンに成功し、バーディを奪った。そこから10番、11番と3連続バーディー。トータルで1アンダーまでスコアを伸ばし、その時点では首位と1打差に迫った。

 初参戦での優勝争いかと周囲が色めき立つ中、13番、14番はバンカーにつかまって連続ボギーを叩いてしまう。しかも競技の進行が遅れていたため、15番ではショットに時間をかけ過ぎているとして警告を受けた。進行の遅れは松山だけの責任ではないが、これでは平常心でプレーできない。

 16番ではパットの時間を短縮して、バーディーチャンスを逃すと、17番では1打目のドライバーを左へ曲げてしまう。ギャラリーの中に飛び込んだため、次の1打に多少の時間を要するのはやむを得ない状況だったものの、競技委員はそれらを考慮してもショットまでが長すぎると判断し、松山に1打罰のペナルティーを与えた。動揺を隠せない若武者は最終18番もボギーとなり、通算3オーバーまでスコアを落とした。

 だが、一晩明けた最終日、松山はしっかり切り替えができていた。前半を1バーディ1ボギーで折り返すと、13番ではバーディーを決めて、ひとつスコアを上げる。上位陣が伸び悩み、気づけば首位とは3打差まで詰まっていた。残すは17番、18番の2ホール。いずれもバーディチャンスをつかんだが、パットが惜しくも決まらず、パー。最終的には首位と5打差の6位で全英初挑戦を終えた。

 同じ6位には全英を3度制覇したタイガー・ウッズも入った。プロ転向3カ月ながら世界の強豪に全く引けをとらない戦いぶりは、日本のみならず、海外のファンにもインパクトを残したに違いない。獲得賞金も節目の10試合目で早くも1億円を突破した。これは石川遼の23試合を上回る超スピード記録だ。松山は、そのままカナダ、米国と渡り、8月の全米プロ選手権に出場する。