3日、日本セパタクロー協会は都内で会見を開き、「第28回キングスカップ・セパタクロー世界選手権大会」(タイ、16日〜22日)に臨む男女日本代表メンバーを発表した。男子にはアタッカー・寺本進、アタッカー・寺島武志らを選出。女子はアタッカー・奥千春、トサー・田中蕗菜らが選ばれた。大会には26か国が参加する予定だ。
(写真:左から寺本、奥、寺島。着用しているのは今大会に向けてつくられた新ユニホーム)
 セパタクローはマレー語の「セパ」(蹴る)と、タイ語の「タクロー」(ボール)の合成語。プラスティック製で籠状に編まれたボールを、ネットを挟んで脚や頭を使って相手コートに入れ合う。男子においては、コートの広さ、ネットの高さはバドミントンと同じ(女子はネットが10センチ低い)。ポジションはアタッカー、トサー、サーバーの3つに分かれている。

 一般的には「足で行うバレーボール」とも言われる。ただ、バレーと大きく異なる点として、「腕、手を使ってはいけない」「1人で続けて3回までボールにタッチしてよい」「守備位置のローテーションはない」「サーブ権は3回ずつで交代する」ことが挙げられる。

 大会ではレグ、チーム、ダブルの3種目が行われる。レグは3人が1組となって対戦し、2セット(1セット21点)マッチ形式で勝敗を争う。チームは3レグが1チームとなり、勝ったレグの数で勝敗を決める。ダブルは2人で1組を構成し、レグ種目と同じ形式で勝敗を競う。

 日本は今回のキングスカップの成績が、来年のアジア競技大会に大きく影響する。日本オリンピック委員会(JOC)が派遣する選手枠の増減に関わるからだ。男子は前回大会、日本オリンピック委員会(JOC)から9人の選手しか派遣を認められず、チーム種目ではギリギリの人数での戦いを強いられた。選手交代による戦略を組み立てられず、ケガ人が出た場合のバックアッパーもいなかった。結果的に、銅メダルを獲得したものの、“万全”の戦いができたわけではなかった。
「世界選手権でいい成績を残し、JOCにアピールして選手枠の数を増やしたい」
 寺島はこのように意気込んだ。

 その上で、男子のキャプテンを務める寺本は今大会のポイントを次のように語った。
「最も強いのはタイ。僕もタイのリーグでプレーしたことがある。タイは見た目の派手のみならず、力強さもある。おそらくは真っ向勝負をしても勝てない。日本としては、1点をどう取るか。1つのことを積み重ね、相手の嫌なところを(重点的に)突く。また、個々のレベルアップは大事だが、連係を向上させることも必要」

 女子のキャプテン・奥も力強く目標を掲げる。奥は08年大会のダブルで準優勝するなど、長年、日本の女子セパタクロー界を牽引してきた。
「今の力を出し切って勝ちたい。今年は(開催時期の関係で)準備期間を多く確保できた。個人的にはダブルに重きを置いている。金メダルを獲って、女子でもアクロバティックなプレーができることをアピールしたい」

 タイでは国技と言われるセパタクローも、日本ではまだまだ認知度は低い。それだけに、代表チームの活躍は、世間へのアピールにつながる。会見に出席した選手からも、「普及」「注目」という言葉が多く聞かれた。日本セパタクロー界発展のため、選手たちは微笑みの国で躍進を狙う。

<男子日本代表>

【アタッカー】
寺本進(SC東京)
林雅典(ゼビオナビゲーターズネットワーク)
寺島武志(阪神酒販)
萩原雄太(SC東京)
【トサー】
高野征也(ゼビオナビゲーターズネットワーク)
佐藤翼(亜細亜大学)
水戸一希(阪神酒販)
【サーバー】
山田昌寛(SC東京)
中塚智之(キットゥン)
坂本竜太郎(横濱セパタクロークラブ)
小林裕和(早稲田大学/SC東京)
石塚雅之(亜細亜大学)
栗村慎二(阪神酒販)

<女子日本代表>

【アタッカー】
奥千春(日本工学院八王子専門学校)
益子梓(札幌医科大学)
佐藤雪絵(横濱セパタクロークラブ)
矢島歩(くにたちキャッツアイ)
川又ゆうみ(日本体育大学セパタクロー同好会)
長谷川栞(日本体育大学)
【トサー】
青木沙和(ゼビオナビゲーターズネットワーク)
渡邉由香(オフィス921)
田中蕗菜(くにたちキャッツアイ)
岩野真弓(亜細亜大学)
【サーバー】
石原里美(横濱セパタクロークラブ)
石野有美(千歳観光)
山口のはら(日本体育大学)