ボクシングのIBF世界スーパーフライ級王座決定戦が3日、サンメッセ香川(高松市)で行われ、同級3位の亀田大毅(亀田)が同級4位ロドリゴ・ゲレロ(メキシコ)を3−0の判定で下し、王座獲得に成功した。亀田はWBA世界フライ級に続く2階級制覇。これで兄の興毅(WBA世界バンタム級)、弟の和毅(WBO世界バンタム級)とともに3兄弟揃っての現役王者となった。また現役の日本人王者は10人と過去最多を更新した。
「これで世界一の3兄弟になれた」
 ベルトを手にして亀田は歓喜の涙を流した。兄の興毅が7月にWBAバンタム級の王座防衛に成功。8月にはフィリピンで弟の和毅が世界初挑戦でWBO世界バンタム級王者になった。

 3兄弟の締めくくりとなる一戦、相手は元世界王者とはいえ、負けるわけにはいかなかった。
「作戦通りやれば勝てると、ずっと言われてきた」
 兄弟で考えたプランをリング上でしっかり実行に移した。

 ゲレロは左右にスイッチしながらパンチを次々と繰り出してくるファイターだ。亀田は序盤、下手に打ち合わず、ガードを下げ、様子をみながら距離をとった。カウンターを狙いつつ、相手が打ち疲れた終盤に攻勢を仕掛ける。それが狙いだった。

 プレッシャーをかけ、ボディを打ってくるゲレロに対し、亀田は足を使ってパンチをかわして有効打を許さない。逆に3Rにはカウンターの右を当て、距離が近づいたところへ左フックを放つなど細かくヒットさせる。ゲレロが懐に入れずにペースをつかめない中、着実にカウンターでポイントを稼いだ。

 苦しいゲレロは8Rから一気に距離を詰め、一発逆転を狙ってきた。だが、亀田はあくまでも冷静だった。強引に左右の拳を振るってくる相手にロープを背にするピンチもありながら、うまく体を入れ替えて連打をくらわない。

 そして終盤の10R、いよいよプラン通り、打ち合いに転じる時が来た。距離を詰めてきたゲレロの顔面をワンツーでとらえると、さすがの元世界王者も足が止まる。さらに右、左と攻めたてると、ゲレロはたまらず後退。手も出せないほど防戦一方となり、試合の優劣ははっきりした。

 さらに11Rは、今度は亀田がプレッシャーをかけて前進。パンチがローブローとなり、減点をとられる場面もあったが、ひるまず前に出る。一方のゲレロはロープを背負ってカウンターを狙ったものの、疲労の色は隠せない。亀田は打ち合いでも、メキシコ人と互角に渡り合い、結局、2〜8ポイントをつけての判定勝ちを収めた。

 一昨年12月、WBA同級のベルト挑戦に失敗した際には、王者のテーパリット・ゴーキャットジム(タイ)のパンチをまともに受け、手数が少なかった点が敗因だった。それから1年9カ月、強打の相手に勝ち切り、確かな成長をみせての2階級制覇となった。