7日、女子アイスホッケーの5カ国対抗戦「スマイルジャパン ブリヂストン ブリザックチャレンジ」が行われ、日本代表(世界ランキング10位)とチェコ代表(同9位)が対戦した。日本は第1ピリオドにFW大澤ちほ(三星ダイトーペリグリン)、FW平野由佳(三星ダイトーペリグリン)のゴールで2点をリードしたが、終了間際に1点を返された。第2ピリオドでは互いに1点ずつ取り合うと、第3ピリオドはFW山根朋恵(Daishin)が得点決めたものの、チェコに3点を奪われ4対5で逆転負けを喫した。スイス(同5位)とドイツ(同7位)のソチ五輪出場国同士の対決は、スイスが延長の末、ドイツを3−2で下した。
(写真:悔しそうな表情で引き上げる大澤<右>らスマイルジャパン)
「勝たなくてはならない試合を負けてしまった」。日本代表の飯塚祐司監督が、そう悔やんだゲームは格上相手に4ゴールを奪いながら逆転を許した。

 先制点を奪ったのは、日本だった。第1ピリオド5分11秒、相手選手の一時退場による1人多いパワープレー(PP)の状況で、右サイドでパックを持ったDF床亜矢可(SEIBUプリンセスラビッツ)がゴール前から少し引いてフリーになったFW大澤にパスを送った。大澤は「たまたまラインが空いていたので、迷わず打ちました」と、ダイレクトシュートでゴールネットを揺らした。

 さらに11分22秒には、FW久保英恵(SEIBUプリンセスラビッツ)のアシストから平野が落ち着いて流し込み、2点をリードした。このまま日本のペースで試合は進むかに思われた。

 しかし、第1ピリオド終了間際に失点を喫した。17分25秒、パックを外に出した床が遅延行為という判定によりマイナーペナルティ(一時退場)。数的不利となるキルプレー(PK)時だった。気を付けなければならない時間帯、状況。優勢に試合進めながら、流れをモノにできなかった。

 第2ピリオドに入り、4分41秒にはチェコに追いつかれる。PPとなった直後の19分21秒、平野からパスを床がミドルレンジからゴール右に叩き込んだ。殊勲の床は「自分だけのゴールではなくサポートしてもらった」と、ゴール前でスクリーンしてGKの視界を遮ったFW獅子内美帆(トヨタシグナス)に感謝した。日本は数的有利を着実に生かし、勝ち越して最終ピリオドを迎えた。
(写真:恒例となったゴール後のお辞儀パフォーマンス)

 第3ピリオドは2分55秒に失点。再び追いつかれたが、3分後に山根のゴールで再度勝ち越した。ここで突き放されば良かったが、「畳み掛けるほどの得点力はなかった」と飯塚監督は唇を噛んだ。

 すると個人技の高いチェコに攻め立てられ、11分39秒に守備陣を崩されて、得点を奪われた。13分31秒には、ゴール前の混戦からこぼれ球を押し込まれ、この試合初めてリードを許す。飯塚監督もGK中奥梓(トヨタシグナス)を代えるなど、流れを変えようと試みたが、チェコの守備陣に封じられ、そのまま4対5で敗れた。

 チェコはソチ五輪に出場しないが、日本にとっては仮想ロシアという位置づけだった。指揮官が「大きなミスはなかった」という一方で、「最後まで質の高いプレーができなかった」と、小さなミスは多く状況判断などゲームマネジメントの稚拙さも覗かせた。キャプテンの大澤は、こう反省した。「FWもDFも1対1でハードに戦えなかった。パワーでは劣っていたわけではなく気持ちが甘かった」。世界の強豪は、こうしたスキを見逃してはくれない。本番前に身を持って体感できたことで、成長の糧にして欲しい。

 明日は世界ランキング8位のスロバキアと対戦する。2月の五輪最終予選では主導権を握りながら、勝てなかった相手だ。延長戦を含めて62本ものシュートを打ちながら1点もとれなかった。今日のチェコ戦で4得点したことは収穫と言える。その攻撃力を測る上でも、ポプラトで唯一取れなかった勝利と得点をスロバキアから奪いたい。

(文・写真/杉浦泰介)