3月7日に開幕するソチパラリンピックの日本代表選手団結団式と壮行会が5日、都内ホテルで行なわれた。結団式の決意表明では、日本選手団の主将を務めるアルペンスキー代表の森井大輝が「ソチパラリンピックではアスリートとして全力で戦う姿を通して、日本国内のみならず、世界中の人にスポーツの力を、挑戦することの素晴らしさを伝えていきたい。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた成功への第一歩をソチパラリンピック日本代表が標せるよう、全身全霊で競技に臨みたい」と宣言した。
(結団式で決意表明した主将・森井<左>と、団旗を受け取った旗手・太田)
 結団式に続いて行なわれた壮行会では、アテネ、北京、ロンドンと五輪3大会連続で金メダルを獲得したレスリング女子代表の伊調馨が登場し、次のように選手を激励した。
「私が言えることは、オリンピック・パラリンピックはお祭り。楽しんだもん勝ちだと思う。アテネ、北京、ロンドンと3大会出場したが、どれも楽しい思い出ばかり。今でもレスリングという競技が大好きというのは昔と変わらない。皆さんにもそういう気持ちで楽しんできてほしい」

 また壮行会の最後には、安倍晋三首相がかけつけ、「これまでさまざまな困難を乗り越えてきた皆さんには、ソチで大きな成果をあげてもらいたい。日本中が皆さんを応援している。日本から送られる声援と熱意を力にかえて頑張ってもらいたい」とエールを送り、選手ひとり一人と握手を交わした。

 ソチパラリンピックでは、アルペンスキー、クロスカントリー、バイアスロンの3競技に計20名の選手が出場する。日本代表の目標は、メダルランキング10位以内、メダル総数10個以上だ。「具体的、現実的、達成可能であることを前提」としている数字だけに、大きな期待が寄せられる。

 各選手のコメントは次の通り。

(写真:左から森井、太田、狩野、新田)
主将・森井大輝(アルペンスキー)
「スポーツの持つ力をひとりでも多くの人に知ってもらいたい。そして、僕たちの滑りを見てもらって、障害のある子どもたちが『チェアスキーをやってみたい』と思って、競技人口が増えれば最高だと思う。そのためにも僕自身が金メダルを獲得できるように頑張りたい。これからの1カ月は基本的なことをしっかりとやって、小さなミスをしないようにしたいと思っている」

旗手・太田渉子(クロスカントリー/バイアスロン)
「この4年間トレーニングしてきた成果を出せるように、残り1カ月、体調管理、最後の調整をやっていきたいと思う。今回は旗手という大役を務めるが、日本選手団の顔として恥ずかしくない言動をしたい。そして開会式の翌日にあるバイアスロンで1個目のメダルが獲れるように精一杯頑張りたい」

狩野亮(アルペンスキー)
「僕たちアルペンスキーは、バンクーバー後の4年間、日本チームで表彰台を独占しようという目標を立てて、ここまでやってきた。ソチの舞台では日本チームの選手がたくさん表彰台に上がり、その中で表彰台独占を目指して戦っていきたい。そしてアルペンスキーの競技レベルの高さを知ってもらい、純粋にスポーツとして楽しむことのできるレベルにあるということを伝えられたらと思う」

新田佳浩(クロスカントリー/スキー)
「ソチは世代交代の大会かなと思っている。そのために、ベテランが若手を引っ張り、平昌につながるレースをしたい。海外の選手の強さはラップタイムが落ちないこと。残り1カ月でスピードを上げ、そのスピードを保持することを課題としてやっていきたい」

久保恒造(クロスカントリー/バイアスロン)
「初出場だった前回のバンクーバーの時は、自分の力をしっかり出せれば、満足だと思っていた。ただ、実際に出てみて負けた悔しさがあった。やっぱり出るからには、この4年に一度の大舞台で勝ちたいという思いが強かった。それだけにこの4年間は結果にこだわってやってきた。ソチでは何としてもメダルを獲得して帰ってきたい。特にバイアスロンのミドルでは金メダルを狙っている」
(写真:右から久保、村岡)

村岡桃佳(アルペンスキー)
「不安はあるが、楽しみという気持ちが膨らんできている。初出場なので、緊張やプレッシャーはあるが、それを力にかえて、頑張ってきたい。自分は競技歴が浅いので、さまざまな面ですごく未熟ではあるが、まだ少し時間があるので、さらにスキルアップを目指して磨いていきたい。これまで支えてくれた人たちがいたからこそ、今の私がいる。その人たちへの感謝の気持ちを表すには、メダルも目標だが、自分のできる精一杯の滑りをしてゴールすることかなと思う」

(文・写真/斎藤寿子)