14日(現地時間)、フィギュアスケート男子・フリープログラムが行われ、前日のショートプログラムでトップに立った羽生結弦(ANA)がそのまま逃げ切って日本人男子初の金メダルを獲得した。初出場の町田樹(関大)はショートの11位から5位に浮上。競技人生の集大成とした高橋大輔(関大大学院)は6位入賞を果たした。カーリング女子は英国に3−12で敗れて通算2勝3敗となった。ジャンプ男子ラージヒルは予選が行われ、日本人選手全員が決勝進出を決めた。


 まだ少年のようなあどけなさが残る19歳のスケーターが世界の頂点に立ち、日本の男子フィギュアスケート界の歴史を塗り替えた。前日のショートプログラムで4回転ジャンプをきれいに決めるなど、ほぼ完璧な演技で史上最高の101.45点をマークした羽生。インタビューでは「足が震えて、これがオリンピックなんだと思った」と答えたものの、初出場とは思えないほどの落ち着きを見せていた。

 2位パトリック・チャン(カナダ)に3.93点差とトップでフリープログラムを迎えた羽生は、最終滑走の3番目に登場。いつものように4回転の体の動きを確認すると、オリンピックのプレッシャーを楽しんでいるかのように笑顔を見せて演技に入った。冒頭の4回転サルコウで転倒したものの、2つめの4回転トーループはきれいに決めた羽生。3つめの3回転ジャンプでステップアウトしたが、その後は納得の演技を披露した。

 前日のショートプログラムに続いて、この日のフリープログラムでも、出場者の最高得点となる178.64点をマーク。ショートでのポイントを合わせると280.09をマークした羽生が、今大会日本人第1号となる金メダルを獲得した。

 試合後のインタビューでは開口一番に「緊張した。オリンピックってやっぱりすごいなと思った」と語った羽生。「結果として嬉しいと思う半分、自分の中では悔しいと思うところが結構ある。金メダルは獲ったが、やっぱり悔しい。(金メダルとわかった時は)驚きしかなかった。悔しさがあったので、嬉しい感情はなかった」とフリーでのミスを悔しさを露わにした。しかし、表彰台に立った時は「嬉しかった」と語り、「(明日の表彰式で)早く金メダルを見たい」と笑顔を見せた。

 世界選手権3連覇中のパトリック・チャンは、冒頭の4回転−3回転のコンビネーションジャンプを完璧に決めたが、次の4回転トーループの着氷時に手をつくと、さらにトリプルサルコウでもステップアウトしてしまう。終盤のジャンプでもミスがあり、フリーは178.10点で合計275.62点。羽生を逆転することはできなかった。

 3度目の五輪出場にして競技人生の集大成とした高橋は、冒頭の4回転トーループで着氷時に少しバランスを崩すものの、なんとか耐えた。その後は時折笑顔を見せながら、豊かな表現力と軽快なステップで観客を魅了した。滑り終えた後は、笑顔を見せた高橋だったが、思ったよりも得点は伸びず、メダルには届かなかった。

 ショートではジャンプでミスが続き、83.48点で11位と出遅れた町田樹(関大)だったが、「銅メダルは僕です」と諦めた様子はまったくなかった。しかし、フリーの冒頭、4回転トーループで転倒してしまう。それでもすぐに気持ちを切り替え、次のコンビネーションジャンプを成功させる。終盤の4つのジャンプもすべて成功させ、11位から5位に浮上した。

 日本、英国に完敗 〜カーリング女子〜

 カーリング女子予選では、日本代表(世界ランキング9位)と英国代表(同3位)が対戦した。上位進出に向けて負けられない日本だったが、2−2の第3エンドに2点を奪われると、第4エンドは1点スチールされる。日本は第5エンドに1点を返したものの、英国に大量点を奪われ3−12で大敗した。日本はこれで通算2勝3敗となった。

「チャンスは少ないかもしれない」。試合前、スキップの小笠原歩の予想通り、昨年の世界選手権を制した英国に実力差を見せつけられかたちとなった。英国のスキップを務めるイブ・ミュアヘッドの正確で力強いショットではね飛ばされた。ショット成功率は日本は64%で精彩を欠くなか、英国は79%。スキップに限れば、小笠原の70%に対し、ミュアヘッドは89%の高確率を誇った。

 2−4とビハインドで迎えた第4エンド、3点スチールのピンチで小笠原の最終投てきに託された。No.1ストーンを弾いて中に入れようとしたが、ショットは少し弱かった。No.1ストーンを動かしたものの、得点は英国。1点スチールされ、点差はさらに開いた。

 次のエンドで1点を返し、差を詰めた日本は第6エンドで小笠原の最終投てきで、うまくガードストーンを置く。相手スキップにプレッシャーをかけたが、バンクーバー五輪も経験している23歳の若きスキップは、動じなかった。ミュアヘッドの投てきは、ガードストーンをうまく回り込み、日本のNo.1ストーンは弾かれた。このエンドも英国に2点が入り、日本の勝機は薄れてきた。

 勝敗が決したのは第7エンド。英国がハウスに4個ストーンを残し、大量スチールのかたちを作る。ここで小笠原が内側に潜り込むドローショットで、日本がNo.1ストーンとなった。しかし、バンクーバー五輪を経験するミュアヘッドは、さらに1枚上手だった。ハウス内前方にあるストーンを弾いて、日本のNo.1ストーンをテイクアウトした。ハウスには英国のストーンが5個残る絶体絶命のピンチとなった。小笠原の最終投は力なく、ハウス内に収まらなかった。5点を失うビッグエンドを作られ、スコアは3−12で万事休す。ここで日本はギブアップした。

 英国戦を皮切りに上位グループとの対決が続く中で、その初戦を落とした。上位進出は極めて厳しくなったが、国際大会の経験値が浅い日本代表の北海道銀行フォルティウスにとって、1戦1戦が貴重な場である。チームとしての成長はもちろんのこと、国内のカーラーを勇気づけるためにも、難敵相手にひとつでも白星を重ねたい。

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