12日、日本陸上競技連盟は都内で理事会を開き、9月に韓国・仁川で開催される第17回アジア競技大会のマラソン日本代表選手男女各2名を発表した。女子は選考レースの名古屋ウィメンズマラソンで日本人トップ(3位)に入った木崎良子(ダイハツ)、同大会で木崎に次ぐ日本人2位(4位)の早川英里(TOTO)を選出。男子は昨年12月の福岡国際マラソンと、今年2月の東京マラソンでそれぞれ日本人1位となった川内優輝(埼玉県庁)、松村康平(三菱重工長崎)が選ばれた。
(写真:代表選手を読み上げる原田強化委員長)

 

「リオデジャネイロ五輪に向けて強化戦略上の起点」。日本陸連の尾縣貢専務理事は今年9月のアジア大会をそう位置付ける。マラソン・競歩種目においては、アジア大会で金メダルを獲得すれば、翌年の世界選手権(中国・北京)代表に内定する。その世界選手権で日本人トップで8位入賞を果たした選手は、2016年のリオ五輪への切符を手にする流れとなっている。

 つまり今回選出された4名は、リオ五輪の選考レースで一歩リードしたとも言える。尾縣専務理事は「選手には是非それをモノにしてもらいたい。金メダルを獲ってもらいたいという強い気持ちを持っている」と語り、4名について「十分にその可能性を秘めている」と期待を寄せた。原田康弘強化委員長も「マラソン・競歩でメダルを目指す選手団で編成する。目標は男女マラソンで金メダル」と明言した。

 男子代表は川内、松村が発表前の大方の予想通り順当に代表入りを果たした。いずれも後半の粘りを評価された。川内は世界選手権2大会に出場しているが、アジア大会の出場は意外にも初となった。レースで仕上げる独特の調整法については、酒井副委員長は「本人が一番パフォーマンスが出る方法で」と容認する姿勢を見せた。一方、東京マラソンで自己ベスト2時間8分9秒をマークした松村には、12年のロンドン五輪と昨夏の世界選手権で入賞を果たした中本健太郎(安川電機)と同様のタイプと口にし、「しっかり成績を残してくれると考えている」と安定感を買った。

 女子代表は酒井副委員長が「抜群の安定感」と高く評価した木崎が文句なしで選ばれた。ロンドン五輪、世界選手権と2年連続で大舞台を踏み、日本のエース格に成長した。名古屋ウィメンズでも足のしびれから、一時は日本人トップの争いからも離脱したが、そこから巻き返して3位に入った底力がある。万全の調整をし、五輪や世界選手権では成し遂げていない表彰台を狙いたい。

 女子の2人目については、昨年11月の横浜国際マラソンで2位(日本人トップ)の野尻あずさ(ヒラツカリース)、1月の大阪国際マラソンで日本人2番手の4位につけた前田彩里(佛教大)も候補に挙がっていたが、早川が代表入り。選考レースで30キロ過ぎまで先頭集団についていった早川に「メダル獲得の実現性が高い」(酒井副委員長)とタイムで上回る野尻や前田の将来性よりも、レース内容で判断した。また男女ともに補欠は置かず、代表選手に故障者が出た場合には欠場する。

 日本陸連はリオに向けた強化策として、昨年6月にナショナルチームの設置を決めている。そのメンバー編成は、アジア大会の代表を含めた男女各10名前後になる見通し。スケジュールとの詳細もまだ決まっておらず、31日に発表される。
(写真:尾縣専務理事は「理事会でも支持していただいた」と選考に混乱はなかった)

 以下代表選手は次の通り。

◇男子マラソン◇
川内優輝(埼玉県庁) 初出場
松村康平(三菱重工長崎) 初出場

◇女子マラソン◇
木崎良子(ダイハツ) 2大会連続2回目 ※マラソンでは初
早川英里(TOTO) 初出場

(文・写真/杉浦泰介)