テニス楽天ジャパンオープン5日目、世界ランキング7位の錦織圭は、準々決勝で同34位のジェレミー・シャルディー(フランス)と対戦。6−4、6−2のストレートで破り、準決勝に駒を進めた。第1セットは第2ゲームで早くもブレークに成功して先取した錦織。第2セットは第1ゲームでいきないブレークして勢いに乗ると、途中でメディカル・タイムアウトをとったものの、最後はラブゲームで締め、快勝した。
 過去の対戦成績はジェレミーの2勝1敗。錦織自身も「典型的なビッグサーバーで、ストロークも荒い。攻撃的だが、アップダウンが激しいので、こちらとしてはリズムをつくるのが難しい」と苦手な相手であることを認めた。そんな錦織に流れを引き寄せたのは、第1セットの第3セットだった。第2ゲームで簡単にブレークを許した錦織。続く第3セットは何度もブレークチャンスの機会を得るものの、デュースに戻され苦しむ。それでも4度目の正直でブレークバックに成功した。
「相手に流れがいきそうなところでブレイクバックできたことは、気持ち的に大きかった」
 錦織は、さらに続く第4ゲームをラブゲームで奪い、ゲームカウント2−2とした。

 第5ゲーム以降は互いにキープし合い、一進一退の攻防戦が続いた。このセット、勝敗を分けたのは4−4で迎えた第9ゲームだった。40−15とジェレミー優位と思われたが、ここから2本続けて錦織が長いラリー戦を制し、デュースにもちこむ。そしてさらに2本続けて錦織はジェレミーのサーブに対して深くリターンを返す。これにジェレミーが対応することができず、錦織がブレーク。続く第10ゲームも難なく奪い、錦織が6−4で第1セットを奪った。

 第2セットはいきなり第1ゲームで錦織がブレークした。続く第2ゲームは逆にジェレミーが2度もブレークポイントを迎えるも、錦織はサービスエースなどで凌ぎきり、このセットをキープする。だが、第3ゲームあたりから、徐々に前日痛めた右の臀部あたりを気にするしぐさが見られた。それでも第4ゲームをサービスエースでキープすると、第5ゲームは逆にジェレミーのサーブに対し、リターンエースを決めてブレーク。「大事なポイントだったので、スイングをコンパクトにした。それと、腰が浮くといいリターンが入らないので、ここぞという時こそ、基本を頭に入れてリターンに入るようにした」という。これでゲームカウント4−1となり、錦織は何度も小さなガッツポーズを繰り返した。

 だが、右の臀部の痛みは第2セットから出てきていたようで、「このままいくとまずいと思った」と、ここでメディカル・タイムアウトをとる。ケガの影響が心配されたが、第6ゲーム以降もその影響をまったく感じさせないプレーを見せた。5−2で迎えた第8ゲームは、3本連続でポイントを奪うと、最後は163キロながらセンターを鋭くつくサーブを放つ。ジェレミーのリターンがラインを割った瞬間、会場からは歓声がわき起こった。

 試合後、右の臀部の具合を尋ねられると、錦織は「今はロンドン(ツアー・ファイナル)に向けて大事な時期。この大会は500(ポイント)でもあるので、上にいってポイントを取りたい一心で戦っている」と力強く語った。2年ぶりの優勝まで、あと2勝だ。

<準々決勝>
錦織圭2(6−4、6−2)0ジェレミー・シャルディー(フランス)

(文・写真/斎藤寿子)