1日、日本カーリング協会(JCA)は都内でパシフィックアジアカーリング選手権(PACC)に向けての記者会見を開き、男女日本代表のSC軽井沢クラブ、北海道銀行フォルティウスのメンバーが抱負を語った。大会は男子が7カ国(オーストラリア、中国、カザフスタン、韓国、ニュージーランド、チャイニーズタイペイ、日本)、女子が5カ国(オーストラリア、中国、韓国、ニュージーランド、日本)で争われる。来年の世界選手権への出場切符がかかるPACCは長野・軽井沢アイスパークで8日から開幕する。
(写真:ともに初優勝を目指す北海道銀行<前列>とSC軽井沢<後列>)
 2018年の平昌五輪に向けて、新たな一歩を刻む。ソチ五輪5位の北海道銀行と、惜しくも五輪出場を逃したSC軽井沢が、アジア・太平洋諸国を相手に絶好の腕試しだ。

 北海道銀行はソチ五輪後、苫米地美智子と吉田知那美が移籍。新たにバンクーバー五輪代表の近江谷杏奈、札幌国際大を卒業した吉村紗也香が加わった。JCAの柳等強化委員長は「背が高く経験のある選手が入り、今までのチームにいい補強ができた」と評した。スキップを務める小笠原歩は「ショットの選択の幅が広がった。ここぞでいいショットが決まってくれるので、厳しいシチュエーションで迎えることも少なくなりました」と補強の効果を語った。

 生まれ変わった北海道銀行。9月に行われた日本代表決定戦でも強さを発揮し、代表切符を手に入れた。9月下旬からは、1カ月間のカナダ遠征を敢行し、4大会に出場した。うち2大会で優勝と上り調子である。カナダでは掴んだ手応えは大きい。小笠原はこう胸を張る。「差がついてもショットをつなげて、追いつくことができた。負けたとしてもぼろ負けすることなく、どのチームとも戦える確信を持てた」
(写真:前所属ではスキップを務めていたサードの吉村)

 女子は来年の世界選手権を札幌で行うため、今大会の結果は予選を兼ねていない。とはいえ、国際舞台の経験はチームにとって無駄ではないはずだ。「せっかく掴んだ舞台。ソチ五輪を経験し、まだまだ場数が足りないと感じた。アジア、世界と戦い続けることがステップアップにつながる。今回のチャンスをモノにしたい」と小笠原は意気込んだ。

 一方、男子代表のSC軽井沢はPACCに3大会連続出場となる。過去2大会は2位だ。例年通り2位まで来年の世界選手権出場権を獲得できる。今大会はスキップの両角友佑は「今まで世界の切符を意識し、ずっと2位にしかなっていない。せっかくの地元なので、優勝を目指したい」と“3度目の正直”を狙う。男子はソチ五輪出場していないが、今年の世界選手権では5位と健闘した。女子と同じく行ったカナダ遠征では4大会中2大会で決勝に残った。例年よりも試合数を積めたことで、自信もついたようだ。

 男女ともに平昌五輪ではメダル獲得を目指すが、男子は長野五輪以来、出場できていない。SC軽井沢のサード・山口剛史は「今年から全開でいかないと間に合わない。世界での結果を求めている」と危機感を持って、初優勝に挑む。タイトルへの渇望は女子も強い。前回大会は3位だった小笠原は、2005年のチーム長野以来の制覇を獲りに行く。「優勝トロフィーを勝ち取るべく、準備をしてきたつもりです。新しいチームと言い訳をせず、日本代表の自覚を持って頑張りたい」と抱負を述べた。

 この先へと弾みをつけるためにも、金メダルを手にしたいところだ。そして今大会は自国開催。結果を残せば、いつも以上に競技への注目度も高まるだろう。自分たちだけでなく、後進へと道を拓く役割も求められている。

(文・写真/杉浦泰介)