25日、男子ゴルフプロの芹澤信雄が校長を務める「チームセリザワ ゴルフアカデミー」の設立会見が東京・品川プリンスホテルで行われた。ツアー通算5勝の芹澤は、2012年男子賞金王の藤田寛之や国内メジャー5勝の宮本勝昌らトッププロの師匠として、その指導力に定評がある。会見には芹澤、藤田、宮本ら「チームセリザワ」のメンバーが集まった。アカデミーは芹澤の弟子である高田順史が中心となり、アマチュアを指導。神奈川・大箱根カントリークラブ(CC)内にオープンし、4月26日に開校する。
(写真:「50歳過ぎたらアカデミーを開校したいという夢があった」と語る芹澤)
 トッププロが認める“セリザワメソッド”が、プロアマ問わず展開される。アカデミー設立は芹澤の夢だった。
「1990年代テレビで10年間、ゴルフ番組を持たせていただきました。その経験を生かし、たくさんのアマチュアの方を見て、アドバイスをし、色々な経験をさせていただきました。95年ぐらいからはチームメンバーと出会い、若手の指導に当たることも増えた。そこでアマチュアの方々にも指導ができたらいいなという思いが、30代の時にはありました。しかし私自身は生涯現役のプレーヤーとしてやっていきたい。レッスンだけというわけにはいかなかったので、“アカデミーは無理かな”と思っていました」

 夢は諦めかけた。だが他のアカデミーなどを見ていくうちに芹澤の考えは変わる。“その選手と同じ考えを持つスタッフがいればできる”。そこで芹澤が自身の後継者役に白羽の矢が立てたのが、ティーチングプロの資格を持つ高田だ。一度は芹澤の下でツアープロを目指したが、身体的に恵まれていないこともあり断念。その高田に芹澤は「オマエはレッスンプロで走れ」とアドバイスしていた。
(写真:「稼ぐプロ」にはなれなかったが、レッスンプロとして大きなチャンスを掴んだ高田<左>)

 その後も、高田と芹澤の交流は続き、徐々にメソッドは継承されていった。芹澤は「彼には私のキャディーをしてもらったり、『チームセリザワ』の合宿に同行するなど私の技術に貢献してくれている」と振り返る。高田は「チームセリザワ」にだけではなく、ティーチングプロとして横浜の練習場で100人を超える多くのアマチュアを指導する経験を積んでいった。芹澤は「こうやって後継者ができたこともあり、アカデミーを設立することができました」と夢を叶えたことを喜んだ。

 国内で28カ所、海外でも3カ所のゴルフ場を運営するプリンスホテルと手を組み、女子ゴルフツアーでも使用する大箱根CCに拠点を構えた。大箱根CC内には専用のレッスンスタジオが建設され、弾道やスイングを解析する最新機器も完備している。

 同アカデミーは会員制で、最初に受講する体験コースの「トライアルレッスン」、午前は練習場でスイングチェックをし、午後はラウンドしながらチェックポイントを確認する「1Dayレッスン」、コースマネジメントやスコアメークをメインに指導する「18ホールラウンドレッスン」、最新のマシンを使いスイングを診断し、プロと1対1にあるいは1対2で指導が受けられる「プライベートレッスン」と4つのメニューがある。高田を含め、大庭長人、遠藤正人と3人のプロが主に指導にあたる。

「アカデミーというとレベルの高い響きがあるが、レベルを問わずゴルフの楽しさを提供したい」と、ヘッドプロを務める高田は意気込みを語る。「チームセリザワ」のテーマでもある「楽しく、真剣に」を元にゴルフ界の発展を目指す。アカデミーを設立した芹澤の憧れはラスベガスにあるブッチ・ハーモンスクール。ハーモンはタイガー・ウッズやフィル・ミケルソンを育てた名コーチである。アマチュアにも“セリザワメソッド”を注入し、底辺拡大に寄与すれば、後に“和製タイガー”や“和製ミケルソン”の誕生も夢ではないかもしれない。
(写真:会見には藤田<前列右>や木戸<後列左から2番目>など「チームセリザワ」のメンバーが集結した)

(文・写真/杉浦泰介)