3日、バスケットボールの新リーグを運営する社団法人「ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ」(JPBL)の設立記念セレモニーが都内で行われた。JPBLの理事長には「JAPAN 2024 TASKFORCE」の川淵三郎チェアマンが就き、引き続き陣頭指揮を執る。この日、新リーグへの入会申し込がスタート。男子のナショナルリーグ(NBL)、その下部リーグにあたるNBDLに加え、ターキッシュエアラインズbjリーグに所属する24チームが入会申し込みを済ませた。受付は4月末までに終了し、審査を通ったチームが3部に分けられる。
(写真:公開受付で書類を受け取り、笑顔を見せる川淵チェアマン。右はbj秋田の水野社長)
「10年来と言いますか、6年前から2つのリーグがひとつになるようにとFIBA(国際バスケットボール連盟)から強く言われていたにも関わらず、それぞれの立場が違ったことでなかなか実現しませんでした。FIBAからの国際試合の出場停止という措置を受けて、選手のためにも、日本バスケ界の発展のためにもリーグがひとつにならなければならないという強い覚悟を持って、一般社団法人ジャパンプロフェッショナルバスケットボールリーグ(JPBL)ができたことをうれしく思っています」と川淵チェアマンは、セレモニーの冒頭に設立を喜んだ。

 今月1日にできた新リーグを運営するJBPL。新リーグへの参加意思を示す入会申し込みには、24チームが応募した。「6年間なかなか一緒になれなかった。今回は、各チームの代表の皆さんが割り切って、なんとかひとつになって日本のバスケットボールの発展に尽くそうという決意をしてくださった」。実業団チームは参加ゼロ。川淵チェアマンは 「大体皆さん参加される方向に進んでいます」と語る。この日の申請は間に合わなかったものの、他に18チームが参加の意思を示しているという。

 新リーグの1部参加条件のひとつ5000人収容ホームアリーナは反対の声も少なくなかった。「初めに言ったらそっぽを向かれました。“そんなことできるわけがない”と。しかし、盛岡の試合を見に行ったときに、盛岡市長に“このアリーナを5000人のアリーナにするよ”とおっしゃっていただいて、僕は本当に勇気をもらいました。その言葉を聞いて“これはいけるぞ”と思ったぐらいです」と川淵チェアマンは明かす。

 一方で秋田県知事のように新設反対の意向を表明している自治体もある。既存の秋田市立体育館は約3500人。「基本的に仮設席がないと、5000人はカバーできない。例えば後楽園ホールは立ち見ができる。そういう融通を利かせていただくことでダメだとは言いません」と川淵チェアマンは柔軟な姿勢を示す。バスケットボール人気の高い秋田への期待は大きい。「秋田ぐらいのイメージで言うと、将来1万人くらいのアリーナがあって、バスケの試合があれば切符が前売り完売するくらいのチームに秋田はなってほしい。なる可能性は十分にあると思うんです。将来10年、20年もこのままという発展性のない秋田のバスケットボール界ではないと思っています」

 川淵チェアマンはバスケットボールの可能性を信じている。ゆえに現状に対しては不満を隠さない。「バスケットボールは世界でもサッカーに次ぐ人気のあるスポーツです。日本でも選手の登録人数は野球、サッカーに次いで3番目です。3番目のバスケットボールリーグがマスコミの皆さんにほとんど取り上げられないという体たらくではどうするんだということを協会の評議員会や理事会で申し上げました」。新リーグ誕生へ船は出向した。川淵チェアマンは「これをきっかけに来年の10月に向けて大きく変わっていきたいと思います」と抱負を述べた。しかし、協会のガバナンスなど問題は山積みである。改革の航路は容易いものではないだろう。Jリーグを生み出した川淵チェアマンの舵取りに期待したい。

<新リーグ入会申し込みチーム>
・bjリーグ
岩手、沖縄、滋賀、福岡、石川、島根、奈良、長野、富山、大阪、青森、埼玉、浜松、秋田
・NBL
つくば、兵庫、リンク栃木、広島、千葉、北海道
・NBDL
東京EX、東京Z、八王子

(文・写真/杉浦泰介)