14日に開幕した全豪オープンは、男女ともシングルスは2回戦に突入した。16日には、2年連続ファイナル進出を狙う20歳のマリア・シャラポワ(ロシア)と2000年の同大会では見事優勝に輝いた31歳のベテラン、リンゼイ・ダベンポート(米国)という「元女王対決」が行なわれる。
 昨年、オーストラリアの異常な暑さに苦しみながらも同大会では初めてファイナリストとなったシャラポワ。決勝では故障から復活したセリーナ・ウィリアムズ(米国)に完敗しているだけに、今大会に賭ける思いは強いはずだ。

 一方、ダベンポートは全米(1998年)、ウィンブルドン(99年)、全豪(00年)で優勝するなど輝かしい実績を残しながら、06年にツアー引退を発表。昨年6月には男児を出産し、母親となった。
「彼女がコートに帰ってくることはないだろう」。誰もがそう思ったに違いない。しかし、ダベンポートは出産からわずか3カ月後に現役復帰を果たし、全盛期時代を思わせるような力強いテニスで再び世界に挑んでいる。

 2人は過去、5回対戦しており、4勝1敗とシャラポワが大きく勝ち越している。しかし、ダベンポートは復帰後、4大会で3勝を挙げるなど目覚ましい活躍を見せている。今大会も1回戦のサラ・エラーニ(イタリア)戦ではフルセットまで持ち込まれたものの、最後は格の違いを見せつけ、復帰後の成績を19勝1敗とした。勢いはダベンポートの方が勝っていると言ってもいいだろう。

 だが、スタミナの面ではやはりシャラポワに分がある。31歳と20歳という年齢差に加え、ダベンポートは昨年9月に復帰したばかり。4大大会においては1年9カ月ぶりだ。そして最も強大な敵となるのが暑さだ。現在、真夏の季節真っ只中のオーストラリアでは強い日射しが容赦なく照りつける。特に近年は地球温暖化の影響もあり、その暑さはで、限界を超えた暑さに達した場合、レフリーの判断によって試合が中断される「ヒートポリシー」というルールが実際に適用されるほどだ。

 昨年は、開閉式の屋根が付いているセンターコート以外の屋外コートでは7時間以上も試合が中断された日もあった。当時WTAランキング1位だったシャラポワは1回戦から気温50度の灼熱地獄の中での戦いを強いられ、脱水症状、けいれんを併発。危うく大会史上28年ぶりの「第1シードの初戦敗退」となるところだった。
 このような過酷な状況で、果たしてダベンポートのスタミナがどこまで続くのか……。

 それでも好運なのは相手が同じ長身で強さを武器とするシャラポワだということだろう。両者ともにパワーテニスが得意なだけに、ラリー戦のような長丁場ではなく、一つ一つの勝負が速くスピーディな展開となることが予想される。スタミナの部分でやや不安視されるダベンポートにとっては、狙い通りの試合運びができそうだ。

 今大会屈指の好カードとも言われている2人の対戦。男子並みの豪快なプレーで観客を存分に魅了してほしい。
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