18日、プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズファイナルステージ第2戦が行われ、北海道日本ハムと福岡ソフトバンクが対戦した。日本ハムは初回に相手のミスから先制に成功する。7回に2点を加え、リードを広げる。守っては、4投手の継投でソフトバンクに反撃を許さず、3対0で勝利を収めた。連勝の日本ハムは日本シリーズ進出へ、あと1勝と迫った。

◇ファイナルステージ
 糸井、2試合連続の2ラン(日本ハム3勝0敗、札幌ドーム)
福岡ソフトバンク    0 = 000000000
北海道日本ハム     3 = 10000020×
勝利投手 武田勝(1勝0敗)
敗戦投手 新垣(0勝1敗)
セーブ   武田久(2S)
本塁打  (日)糸井2号2ラン
 速球派左腕が躍動し、初戦をとった日本ハム。この日は技巧派左腕がゲームを作り、完封リレーでモノにした。

 1回裏、いきなり試合が動いた。日本ハム打線は、ソフトバンク先発の新垣渚に1、2番をセカンドゴロに抑えられ、昨日ホームランを打っている糸井嘉男を打席に迎える。糸井は2−1のバッティングカウントから高めの真っすぐを、思いきりのいいスイングで弾き返す。打球は右中間を破り、糸井は快足を飛ばして三塁を陥れた。

 続く4番の中田翔は新垣の外角のスライダーをレフトへライナー性の打球を放った。レフトの内川聖一は落下点に追いつき、3アウトチェンジ――。誰もがそう思った瞬間、日本ハムファンのため息は、一転して歓声に変わる。内川はボールを掴み損ね、痛恨の落球。日本ハムが思わぬかたちで先制点を手にする。

 幸運な援護点をもらった日本ハム先発の武田勝は、2、3回を三者凡退に抑える快投で応える。4回表1死から四球とヒットで一、二塁のピンチを招いたものの、5番・多村仁志を三球三振、6番・長谷川勇也をセカンドゴロに切ってとった。「自分のピッチングができた」と試合後、語った通り、ベテランらしい冷静なマウンドさばきで、ソフトバンク打線を沈黙させる。

 停滞した流れを変えたいソフトバンクの秋山幸二監督が早々に動く。4回、ここまで被安打1の新垣を岩嵜翔にスイッチ。ファーストステージで好リリーフを見せた22歳に、その重責を託した。しかし、岩嵜はピリッとしない。4、5回を無失点に抑えたものの、2四球ずつ与え、攻撃陣にいいリズムを与えられない。

 それでもソフトバンクは6回表、先頭の松田宣浩がレフトフェンス直撃のツーベースで出塁。本多雄一がきっちり送って、1死三塁の同点のチャンスを作った。ここでバッターは名誉挽回をしたい内川。しかし、昨季CSでMVPを獲得したヒットマンは、初球をセンターに打ち上げてしまう。

 浅いフライで、自重することも考えられたが、三塁ランナーの松田はタッチアップを選択した。勝負を挑まれたセンターの陽岱鋼は、自慢の鉄砲肩を披露し、キャッチャー鶴岡慎也へワンバウントのストライク返球。松田は本塁憤死となり、絶好の同点機を逸した。

 日本ハムの栗山英樹監督は、継投で逃げ切りを図る。6回無失点と好投している武田勝に代え、石井裕也を投入する。石井はゼロに抑え、いい流れでバトンを渡した。その裏、先頭の金子誠がセンター前ヒットで塁に出る。代走の中島卓也を陽が送り、チャンスを演出。なんとしてでも追加点を防ぎたいソフトバンクの秋山監督は、ここで森福允彦をマウンドに送る。試合の行方を左右する場面で、森福は代打の杉谷拳士をライトフライに打ち取った。続く糸井を抑えれば、流れを一変できる。

 そんなソフトバンクベンチの思惑を、糸井は一振りで打ち砕いた。今季、森福に対してノーヒットと苦手にしているだけに「初球から打てるボールは強く振る」という意識で打席に立つ。そして、森福が投じた初球のスライダーを豪快に振り抜く。打った瞬間、それとわかる当たり。糸井の初戦に続く特大の2ランは、相手にこれ以上ないダメージを与える一打だった。

 3点のリードを奪った日本ハムは8、9回を増井浩俊、武田久の必勝リレーで締めくくった。明日は今季10勝をあげているブライアン・ウルフが先発する。勢いそのままにスイープでファイナルステージを制したい。

 王手をかけられたソフトバンクは、窮地に追い込まれた。頼みの森福が連夜の痛打を浴び、打線はつながりがなく散発の6安打無得点。第3戦は攝津正が先発マウンドに上る。今季最多勝のエースが、奇跡の逆転突破の口火を切るようなピッチングを見せられるか。日本シリーズ進出へ一縷の望みをかける。