愛媛マンダリンパイレーツは前期、勝率3割5分5厘で最下位に終わった。河原純一新監督の下、若手育成と勝利の両立を目指したものの歯車が噛み合わず勝てない試合が続いた。だが、巻き返しを期して臨んだ後期は開幕から3連勝。順調なスタートを切った背景をキャプテンの四ツ谷良輔に聞いた。インターバルの間に身につけた「自信」の源とは?

 

 夏場は体力勝負

 愛媛に入団して6年目、今季からキャプテンに就任しました。特にリーダーシップがあるわけではないのですが、たぶん盛り上げ役という意味で僕に白羽の矢が立ったのだと思っています。

 

 昨年、インターバルを利用して四国アイランドリーグ選抜が北米に遠征しました。僕は前年に続いて2年目の参加だったので、北米遠征について知ってることが多かった。自然と選抜チーム内で牽引役になっていて、そのときの経験が今、キャプテンとして役立っているのかなと思っています。

 

 キャプテンとしてやはり前期の最下位は悔しいですね。前期が終わった時点で反省を込めて振り返ってみたのですが、育成がメインだったとは言ってもやはり試合中にミスをすると勝てないことを再認識しました。選手個人がしっかりしていれば勝てた試合も多かったと思っています。元々、うちのチームは守り勝つ野球が身上です。だから後期に向けて、もう一度守備を鍛えることから始めました。

 

 6月、7月は例年よりも練習量をアップして、受けたノックの数も倍近く増えたはずです。守備練習の他、バットを振り込む量も増やして、とにかくチーム全員、徹底的に"追い込んだ"感じです。

 

 その効果は確かにありましたね。前期はリードされると早々に諦める雰囲気がありましたが、後期はそれがない。「まだまだいけるぞ」とベンチの雰囲気も前向きです。8月6日の福岡ソフトバンク戦、先制して逆転されて追いついて突き放されてというシーソーゲームでした。結局、8対8で引き分けましたが、あの粘りはインターバルの練習で培った自信から生まれたものだと思っています。

 

 トレーニングの重要性

 練習やトレーニングが自信になることは、自分自身も以前、経験しているんです。2012年、愛媛に入った当初、高卒の僕はまだまだ体も細くて練習についていくだけで必死でした。試合中のスタミナもなくて2年目くらいまではシーズンを戦うのがつらいくらいでした。

 

 転機になったのは3年目の14年、愛媛にトレーナーの伊藤和明さんが加入してからです。今、伊藤さんは埼玉西武でトレーナーをしていますが、彼の下でトレーニングを始めから「あれ、何か体が違うぞ」と。シーズンを通して戦う体力はもちろん、一番つらい夏場もそれまでとは違って動けたんですね。

 

 やった分だけ結果はついてくる、ということをこのときに身をもって経験したので、今回の練習量アップについても「効果あるだろうな」と思っていました。特に若い選手たちはトレーニング、そして練習をみっちりとやってほしいですね。辛くても自分自身の貯金、財産になりますから。

 

 チームとして後期は優勝してチャンピオンシップに進出するのが目標です。僕は6番打者を任されることが多く、前を打つ古川敬也さんは出塁率も高いんです。だからいかに彼を先の塁に進められるか、つなぎの意識を持って後期も戦っていこうと思っています。

 

 自分のアピールポイントは走塁、そして守備力だと思っています。長所をもっと磨いてNPBドラフトに指名される選手になりたいですね。後期、巻き返しを図る愛媛マンダリンパイレーツ、そして四ツ谷良輔への応援をよろしくお願いいたします。

 

<四ツ谷良輔(よつや・りょうすけ)プロフィール>愛媛マンダリンパイレーツ内野手
1993年6月8日、埼玉県生まれ。深谷商時代、ポジションはピッチャー。チームのエースを務め、強豪揃いの埼玉で県大会3回戦まで進出と奮闘した。卒業後は四国アイランドリーグPlusの愛媛マンダリンパイレーツに入団。野手に転向し、堅守、好打の内野手(セカンド、ショート)として活躍する。15年、16年、アイランドリーグ選抜として北米遠征に参加。右投右打、身長174センチ、体重76キロ。


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