伊予銀行女子ソフトボール部は現在、合宿や練習試合などを行ない、リーグ戦開幕に向けて着々と準備を進めている。昨オフ、これまで大黒柱としてチームを支えてきた川野真代、坂田那己子のベテラン勢や、藤原未来前キャプテンがチームを去った。そんな中、新キャプテンに抜擢された相原冴子選手を中心に、チームは4年ぶりの1部復帰を目指して新たなチームづくりを図っている。今季、現場復帰3年目を迎える酒井秀和監督にチームの現状を訊いた。

 伊予銀行はシーズン前に九州などで春季キャンプを行なうのが恒例となっている。今年は2月18〜28日の11日間に渡って、鹿児島県日置市でキャンプを行なった。今回のキャンプのテーマは大きく分けて2つあったという。「スキルとメンタルのレベルアップ」「チーム内のコミュニケーションを深めること」だ。

 酒井監督は、キャンプを通してピッチャーには1000投球、バッターには1000スイングを課した。選手たちはそれをやり抜いたことで、心身ともに力をつけることができたという。その成果のひとつに、酒井監督はキャンプ最終日に行なわれた豊田自動織機との練習試合をあげた。
「古賀郁美がセンターオーバーのホームランを打ったんです。この打球は練習の賜物でしたね。他の選手も内野ゴロにしても打球が強くなっていましたから、手応えを感じることができました」

「チーム内のコミュニケーション」もさらに深まり、チームの結束力が高まったと感じている。
「いつもグラウンドに入ってきて、練習の始まりというのは選手たちは静かなんです。ところが、キャンプでは徐々に最初から明るい雰囲気をつくれるようになっていました。それも、緊張感のある中での明るさなんです。キャプテンの相原や副キャプテンの近藤琴美、ベテランの矢野輝美などが引っ張ってくれましたし、新人選手も元気が良くて、非常にいい雰囲気の中で練習に入ることができました」

 今年、新加入した5選手も、すっかりチームに溶け込むと同時に、パワーもスピードも随分とついてきた。それぞれの持ち味をグラウンドで出し、チームにいい影響を与えている。
「新しい選手はみんな明るく、個性のある選手ばかり。突出した選手はいませんが、バランスのとれたいい選手ばかりです」

 “個”よりも大きい“チーム”の力

 監督に復帰して3年目となる今季、酒井監督は「勝負の年」と考えている。選手たちにも「結果を求めていくよ」と発破をかけている。その中で、1年目に求めた「泥臭さ」と2年目に求めた「自主性」を併せ持ったチームづくりを行なう方針だ。

 そして、この2年間で酒井監督が強く感じているのは、優勝への最重要ポイントは「チームの結束力」だということ。
「1年目のプレーオフ、2年目のリーグ最終戦と、私たちがここぞという時に負けた試合を振り返ってみても、“個”よりも“チーム”の力が最後にはいきるということを痛感させられました。チームに4割打者が1人いるよりも、3割打者が大勢いた方が強い。それに加えて、気持ちの部分が大きい。いかに『チームのために貢献したい』と思えるか。“なでしこジャパン”や“火の鳥NIPPON”を見ても、結束力が何より大事だということを改めて感じています」

 開幕は4月27日。現在は、細かいところをひとつひとつ詰めていく作業を行ない、チームの底上げを図っている。酒井監督の下、果たして“3度目の正直”となるか。2013シーズンの戦いがもうすぐ始まる。


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