「1年の計は元旦にあり」という。その伝で言えば「1シーズンの計は開幕戦にあり」だ。

 かつてヤクルト監督時代の野村克也は「開幕戦は144分の1ではない。144分の144だ」と宣言して、選手たちを鼓舞した。

 さて今季のカープの開幕カードは巨人との3連戦だ。優勝候補の本命・巨人との戦いは、今シーズンを占う上でのリトマス試験紙となるだろう。

 できれば勝ち越したいところだが、1勝2敗でも悲観することはない。3連敗さえしなければ良しとすべきだろう。

 問題は、この3連戦で巨人にどんなメッセージを送れるかだ。キーマンはスタメンマスクが予想される石原慶幸だ。どの球団のスコアラーに聞いても「石原のリードはアウトコース中心」と、ハンで押したような答えが返ってくる。

 イメージチェンジをはかるためにも、開幕カードは「内角中心」でいきたい。結果は二の次だ。「石原は変わった」と思わせることが重要なのだ。

 巨人の反応は、必ず他のチームにも伝わる。「今年の石原はこれまでのリードとは違うらしいぞ」。そんな声が聞こえてくればしめたものだ。敵を戸惑わせるためにも開幕カードを最大限利用したい。

(このコーナーは書籍編集者・上田哲之さんと交代で毎週木曜に更新します)
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