「スポーツ祭東京2013」第68回国民体育大会の開幕まで残り1カ月。各競技で四国ブロック予選が実施されている。9月28日の開会式に先駆け、水泳とともに9月11日からスタートするのがボート競技だ。7月に行われたブロック予選では愛媛県は少年男女、成年男女とも順当に全種目で出場権を確保した。昨年の岐阜国体で愛媛はボートで全国4位の好成績を収めており、今年は競技別の1位を狙う。
(写真:強化部長も兼務するダイキ・武田(右)は今治造船・別府と成年男子ダブルスカルに出場する)
 愛媛のボートが国体で高得点をあげているのは少年の活躍によるところが大きい。昨年はかじ付き4人スカルで男女ともに優勝。今月のインターハイでも女子の同種目で宇和島東高が2位となり、連覇への期待がかかる。また男子のダブルススカルでは今治西高のペアが準優勝を収めた。

「女子はジュニアの日本代表にも選ばれた小原有賀(松山東)を中心に大いに期待が持てます。男子もインターハイのかじ付き4人スカルでは今治西高が入賞しました(8位)。体力はあるので、コンビネーションを高めれば、さらに上を狙えるでしょう。連覇を意識しすぎると崩れてしまうので、まずはベストパフォーマンスを出し切ることを目指してほしいと考えています」

 愛媛県ボート協会の強化部長も務める武田大作は少年の現状をこう分析する。何より愛媛はボートの強豪校が多く、「勝ち方を分かっている」と語る。今後は各校の指導者と連携をとりつつ、合宿を通じて「チーム愛媛」で戦う一体感を醸成したいと考えている。

 少年でそれなりの結果が見込める中、得点をさらに上積みするには成年の頑張りが欠かせない。武田自身が出場する男子ダブルスカルでは、別府晃至(今治造船)とのペアで目指すは優勝だ。別府とは2年前の国体でもコンビを組んだが、準優勝に終わった。

「あの時は僕が国体前の全日本選手権で腰を痛めて迷惑をかけてしまいました。今年は体もいい状態で、地元で大学生とレベルの高い練習ができている。強化部長としても勝たないと説得力がないですからね(笑)」

 成年で現在、力を入れているのがかじ付きの4人フォアだ。団体種目で得点も高いだけに、武田は男女揃っての入賞を目標に掲げる。
「フォアでは、ここ11年入賞がありません。他県も強化している種目ではありますが、レベルアップはできていると感じています」

 大学生の県出身選手などを代表に入れ、上位をうかがえるメンバーは揃った。今年は国体後の10月に全日本選手権が開かれるため、ここに照準を合わせる各所属団体とのスケジュールの調整が難しく、県代表全員が集まって練習する期間はほとんどない。もちろん、武田はそれを踏まえた上で、例年より前倒しして強化プランを立ててきた。

「ここまでは自分自身もチーム愛媛としても順調です。ここから合同練習などを通じて仕上げ、ベストの状態で本番に突入したいと考えています」
 大会を間近に控えて、最も怖いのは故障である。「昨年もケガ寸前の選手がいた」と武田は明かす。それだけに今年はトレーナーを呼び、体のケアにはより重点を置くようにしている。自身も現役を続けているからこそ、選手の状態を把握しやすいのは強化部長としての強みだ。

「現役との掛け持ちは大変ですが、いろいろと見えてきたこともあります。4年後のえひめ国体で最高の結果を出せるよう、今後につながる大会にしたいですね」
 2足のわらじを履く愛媛ボート界のレジェンドは、大きなゴールへ向かってまっすぐに艇を進めていく。

<ダイキ弓道、ジュニアゴルフは国体出場ならず>

 ゴルフでは女子の県代表候補となっていたダイキジュニアゴルフスクールの野々村颯記、竹下桃夏が最終選考会(7月20日、21日)の結果、上位3名に入れず、代表入りはならなかった。中学3年の竹下が8選手中5位、野々村は7位。「国体出場選手を輩出する」とのスクールの悲願達成は来年以降に持ち越しとなった。

 弓道ではダイキの原田喜美子、山内絵里加、北風磨理が成年女子の県代表に選ばれ、18日の国体四国予選に臨んだ。4年ぶりの国体出場へ強い決意で矢を放ったものの、結果はまさかの4県中最下位。近的では24射(各選手8射)で18中となり、1位タイだったが、順位を決める競射で徳島に敗れて2位に終わると、遠的では0点が相次ぎ、240点満点で113点と振るわなかった。

「他県も年々、強くなっているとはいえ、最下位とは思いませんでした。何がダメだったのか、正直、まだ現実が受け止められない状態です」
 ダイキ弓道部の主将でもある原田はショックを隠しきれない。弓道部では3年連続で国体出場を逃した反省から、新たな指導者を招き、個々人のステップアップに取り組んできた。5月の住吉大社全国弓道大会では6年ぶりの団体優勝。国体予選突破へ手応えをつかんでいた。

 昨年、愛媛は成年、少年とも全種別で国体への切符を確保できなかったため、県の強化体制にも見直しが図られた。その成果が出て、成年男子、少年男女は出場権を得ただけに、原田たちの落胆は大きい。
「結局は自分たちの力が足りなかった。“国体に行きたい”という気持ちだけではレベルは上がりません。妥協せず、課題と向き合い、ベースをしっかりつくる。もう一度、すべてを見直す必要を感じています」
 早速、予選翌日には部内でミーティングを実施し、今後の方針を話し合った。下を向いている時間はない。来年の長崎国体こそは本番で弓を引くべく、部員たちは必死に前を向こうとしている。
 
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(石田洋之)
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