第68回国民体育大会「スポーツ祭東京2013」は9月28日に開会式を迎える。開幕に先駆けて11日からは水泳とボート競技が実施された。ボートは最終日が台風接近による荒天により、すべての決勝レースが中止となるアクシデントがあったものの、少年女子かじ付き4人スカルでは愛媛県代表が連覇を達成(決勝進出クルーがすべて優勝)。成年男子と成年女子のかじ付きフォアで5位入賞を収めた。
(写真:優勝した少年女子かじ付き4人スカルのメンバーたち)
 成年男子シングルスカルでは南條翔也(熊本学院大、今治南高出身)が7位、少年男子シングルスカルでは御手洗航(今治工高)が7位。同ダブルスカルでも須山充(松山東高)と倉谷祐太(今治工高)ペアが7位だった。

 ただ、優勝が期待された成年男子のダブルスカルでは武田大作(ダイキ)、別府晃至(今治造船)のペアが6位に終わるなど、思ったような成績を残せなかった種目もあった。結果、競技別の総合得点では昨年の4位から5位に一歩後退。愛媛県としては得意のボートで開幕前に弾みをつけたいところだったが、やや目論見が外れた滑り出しとなった。

 また水泳では市川尊(八幡浜高)が少年A200メートル背泳ぎで5位、同400メートル個人メドレーで6位と2種目で入賞。少年A男子100メートル自由形では三好悠介(八幡浜高)が5位に入っている。

 4年後の「愛顔つなぐ、えひめ国体」に向けて各競技団体は選手育成、強化を入れており、今回の四国ブロック予選では一定の成果が出た。全種目における予選突破率で愛媛県勢が四国トップに躍り出たのだ。突破率は一昨年の32%、昨年の28%を大きく上回る39%(2位・香川が25%)。なぎなた、柔道、サッカーをはじめとする12競技で成年、少年ともに男女揃って代表選手を送り込むことに成功し、昨年は予選で全滅だった弓道など15競技が、昨年よりも出場権獲得種目を増やした。

 特にハンドボールでは成年男子で、長年続いてきた香川の牙城を崩し、久々の国体出場が決定。ボウリングも例年は多くても数名レベルの参加だったが、今回は成年男女、少年男女すべてで予選を勝ち抜いた。
「まずは四国での予選突破率ナンバーワンを目指していましたから、第一関門が突破できたのはうれしいの一語です。各競技団体、選手の頑張りには敬意を表したいと思います」
 愛媛県体育協会の藤原恵専務理事は、そう評価する。

 大都市圏とは異なり、大学や企業で競技を続ける環境が限られる地方の県では、どうしても成年の競技力が落ち込む。それは愛媛県も抱える大きな課題だ。愛媛県では、これまでも紹介してきたように選手や指導者の確保や職場開拓、社会人チームに対する支援を行ってきた。「成年がどこまで成績を伸ばすか。ここが今回の国体のひとつの注目ポイント」と藤原専務も明かす。

 特に得点が高い団体競技で成年のチームが活躍すれば、総合順位の向上に直結する。女子サッカーの愛媛FCレディース、女子バスケットボールの今治オレンジブロッサム、女子ソフトボールの伊予銀行には上位進出の期待が大きい。

 個人種目では男子やり投げの第一人者・村上幸史(スズキ浜松AC、今治明徳高出身)や、ボクシングのライトウェルター級で一昨年の覇者・福森雄太(ビオスクリエイティブスポーツクラブ)は優勝候補だ。また男子テニスの弓立祐生(明大、新田高出身)、自転車のプロレーサーを目指してフランスに渡っている小橋勇利(松山工高出身)、昨年の男子スプリントで準優勝を収めた松本貴治(朝日大、松山聖陵高出身)といった楽しみな若手もいる。

「優勝が確実と断言できる種目はありませんが、入賞が見込めるものは少なくありません。各競技でコツコツ得点を稼いでほしいと思っています」
 県体協では天皇杯(男女総合成績)の順位目標を一昨年の山口国体を上回る25位以上に定める。予選突破率だけみれば一昨年を上回っており、「一気に10位台を狙える」との声もあるが、昨年の岐阜国体は34位と落ち込んだだけに藤原専務の見方は慎重だ。

「四国を勝ち抜いても、全国レベルとなると甘くありません。客観的に見れば予選をクリアしても、全国で上位を狙える位置に到達していない競技が多いのも現実です。多くの選手や関係者が東京国体での経験に基づいて、4年後に向けて何をすべきか、しっかりしたプランを練り直す大会になってくれればと考えています」
 競技力向上は一夜漬けではできない。残り4年という期間を有効に使う上で、愛媛県にとって今回の国体は重要な試金石となる。

 東京は2020年の五輪、パラリンピック開催が決定し、街は華やかなムードに包まれている。その中で開かれるのが今回の「スポーツ祭東京2013」だ。花の都で、オレンジ色の愛媛の選手たちが明るい花を咲かせることを県体協も望んでいる。

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(石田洋之)
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