年末年始は例年のごとく、スポーツイベントが目白押しだ。
 次世代を担う高校年代の全国大会も多数開催される。卒業する高校3年生にとっては最後の晴れ舞台だ。その中から、今回はスカパー!のJ SPORTSで全試合を生中継する全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会(ウインターカップ、23日〜、東京体育館)、全国高等学校ラグビーフットボール大会(27日〜、花園ラグビー場など)の見どころを紹介しよう。

 高校三冠か、大会連覇か

 ウインターカップには47都道府県予選を突破した代表校、開催地、インターハイの優勝・準優勝校の男女各50チームが出場する。シーズン最後の戦いを制し、笑顔で2014年を終えられるのはどのチームか。

 男子の優勝候補筆頭は、史上6校目の高校3冠を狙う福岡大附大濠高校だ。8月のインターハイを制し、10月の長崎国体でも福岡大附大濠が主体となったチームで優勝を果たした。中心選手は津山尚大(3年、ガード)だ。身長178センチとバスケットボール選手としては小柄ながら、フィジカルの強さは抜群。ドライブで切り込んでからのシュート、3ポイントシュートなど得点パターンが多彩なスコアラーである。U−18日本代表にも選出されている。

 昨年の明成高校(宮城)とのウインターカップ決勝。津山はフル出場でチーム最多の28得点と気を吐いたが、勝利を手にすることはできなかった。悔しさを胸に挑んだ今夏のインターハイ決勝では19得点、19リバウンドの“ダブル・ダブル”を達成し、福岡大附大濠の28年ぶり、3度目の優勝に貢献した。ウインターカップでも津山には得点源として、チームを勝利に導くことが求められる。

 前回大会決勝で福岡大附大濠を破った明成は、史上5校目の連覇に挑む。明成の注目選手は八村塁(2年、センター)。父親がベナン人、母親が日本人のハーフで、身体能力が非常に高い。身長199センチと体格にも恵まれている。インサイド、アウトサイド問わずに得点力が高く、今年のU−17世界選手権では大会得点王に輝いた。明成はインターハイで世界選手権に出場した八村を欠いた状態で準優勝を収めている。その意味で、明成が連覇できるかどうかは八村のパフォーマンス次第といっても過言ではないだろう。

 福岡大附大濠の高校3冠か、それとも明成の大会連覇か。両校は順当に勝ち進めば、決勝で相見えることになる。

 “女王”の優位揺るがず

 女子の本命は桜花学園(愛知)だ。名将・井上眞一監督の下、名古屋短大附時代から積み重ねた全国優勝(インターハイ、国体、ウインターカップ)の回数は実に56回。押しも押されもせぬ高校バスケットボール界の女王である。チームを支えるのがキャプテンの高辻真子(3年、ガード)だ。司令塔として攻撃を操り、時には自らも得点を奪う。今年のインターハイ決勝で14得点、国体決勝で20得点を記録した事実が、彼女の勝負強さを証明している。驚異的なスタミナを誇る高辻は、試合終盤も存在感が弱まらない。安定感のある高辻が支柱としてプレーするからこそ、他の選手も実力を発揮できるのだ。

 桜花学園には高辻の他にも実力者が揃っている。今年6月のU−17世界選手権に加藤優希(3年、フォワード)、遠藤桐(2年、ガード)、脇梨奈乃(2年、フォワード)、梅沢カディシャ樹奈(1年、センター)、赤木里帆(1年、ガード)、馬瓜ステファニー(1年、フォワード)の6人を送り込んだ。桜花学園は高校年代の日本代表ともいえる布陣で、20回目のウインターカップ制覇に挑む。

 桜花学園の対抗馬には昭和学院高校(千葉)を挙げたい。今年のインターハイ、国体(昭和学院主体のチームで出場)ともに準優勝に終わった。日本一へのモチベーションはどこよりも高いはずだ。同校の注目は赤穂シスターズだ。姉・さくら(3年、センター)は身長184センチという恵まれた体躯でインサイドを支配する。日本代表が銅メダルを獲得した9月のアジア競技大会にただひとり、高校生として出場。10月にはU−18アジア選手権で中心選手として全試合に出場し、準優勝に貢献した。

 身長183センチの妹・ひまわり(1年、フォワード)も6月のU−17世界選手権、U−18アジア選手権に出場するなど、実力は高校屈指だ。姉妹だけあって、阿吽の呼吸で繰り出すコンビネーションは昭和学院の大きな武器となっている。“さくら”と“ひまわり”、どちらも冬に咲く花ではないものの、コート上では季節はずれの満開を目指す。

 U−18代表・曽我部奈央(3年、ガード)、U−17代表・木村珠貴(3年、フォワード)擁する聖カタリナ女子高校(愛媛)も優勝候補の一角だ。前回大会は準決勝で桜花学園に65−68と惜敗。順当にいけば桜花学園とは準決勝で対戦する。昨年の雪辱を果たして、悲願の大会初制覇を達成できるか。

 スカパー!ではJ SPORTSでウインターカップ全100試合を生中継する。冬の寒さを吹き飛ばすような熱戦を、リアルタイムで楽しみたい。

 連覇狙う東海大仰星、東福岡は3冠へ

“花園”の愛称で親しまれる全国高校ラグビーは47都道府県から、51校(北海道と東京は2校、大阪は3校出場)がトーナメントを戦う。優勝争いの中心となるのは、ここ2大会、頂点に立っている大阪勢だ。

 連覇を狙うのは東海大仰星。高校日本代表候補にはPR徳田賢彦(3年)、PR筒井エディ稜史(3年)、LO横井達郎(2年)、FL西川壮一(3年)、No.8野村祐太(3年)、WTB小原錫満(3年)、CTB巴山凌輔(3年)、WTB小尾嘉門(3年)と各ポジションから8人が選出され、攻守のバランスがいい。

 だが、今季はここまで東福岡の厚い壁にはね返されている。春の選抜大会では準決勝で10−12と惜敗。この夏、初開催された7人制大会でも再び準決勝で敗れた。先制トライを奪いながら逆転され、5−26と大差をつけられた。互いにAシードに入った東福岡と今年3度目の対決が実現するとすれば決勝だ。そこまで順当に勝ち上がれば、雪辱を果たすと同時に、連覇を達成する格好の舞台が整う。

 大阪第3代表決定戦で前々回の覇者・常翔学園を破った大阪桐蔭もおもしろい存在だ。代表決定戦では2点ビハインドの後半ロスタイム、モールで押し込んで相手の反則を誘い、逆転サヨナラPGを決めた。磨き上げたスクラムやモールを武器に花園でも強豪を押しのけられるか。

 6年連続の出場となる大阪朝鮮高も含めた大阪の3校とともに、頂点に近い位置にいるのが東福岡だ。選抜大会、7人制大会をいずれも制覇。この花園も制すれば、史上初の“3冠”に輝く。前回の花園でベスト4を経験した主力が7人も残り、FWとBKが一体となって敵陣を次々と突破する。高校代表候補にもキャプテンのFL古川聖人ら12名が選出され、選手層が厚い。

 福岡県予選の決勝では5月に敗れた修猷館を相手に59−0と圧勝。8トライを奪う猛攻で、さらなるチーム力アップを感じさせた。3連覇を果たした時以来となる3大会ぶりの全国制覇に死角はない。

 初出場校も要チェック

 また、天理との強豪対決を制して奈良県予選を突破した御所実も上位をうかがえるチームだ。FBの竹山晃暉は身長175センチと決して大きくはないが、華麗なランニングスキルで相手陣内に攻め入る。

 東日本勢では神奈川県大会で桐蔭学園の10連覇を阻止した古豪・慶應に注目したい。選抜大会準優勝の桐蔭学園の進撃を食い止めたのは強力FW陣だ。決勝の桐蔭学園戦で先制トライをあげたLO辻雄康は身長190センチの偉丈夫。U−20代表にも選ばれるほどの逸材だ。彼を中心にしたラインアウトからのモールでゴールに迫る。

 今回、初出場校は学法福島、富岡第一(富山)、近大和歌山の3校だ。少子化は高校ラグビーにも暗い影を落としており、部員は減少の一途をたどっている。最低15人が必要なラグビーにおいては単独チームで大会に参加することが困難な学校も多い。そのため、限られた強豪に選手が集中する傾向が強まっている。花園出場経験のない学校が、その舞台に立つのは一層、困難な時代なのだ。

 なかでも、高岡第一は高校までラグビー経験のない選手が多いにもかかわらず、全国大会にコマを進めてきた。短期間で急成長を遂げた要因は全国での武者修行にある。全国のトップクラスの指導者の下に出向いて教えを請い、フィジカルを鍛え、テクニックを磨いた。南アフリカの7人制代表が東京で開催したラグビークリニックにも足を運んだという。

 その成果が今年、実を結んだ。7人制大会で、創部55年目にして全国大会に初出場すると、予選プールを突破し、ベスト16入りを果たした。ここで自信をつけた選手たちは今大会の富山県予選も勝ち抜き、念願の花園への切符を手にした。

 決して目立った選手はいないが、相手を研究し、速いボール回しでスキを突くスタイルが持ち味だ。初戦は近大和歌山で初出場校同士の対決となった。花園で旋風を巻き起こせるか。

 周知の通り、ラグビーは2019年にW杯日本開催を控える。そして2020年の東京五輪では7人制ラグビーも開催される。5年後、6年後、ジャパンの主力となる選手たちは、この花園から生まれるはずだ。スカパー!ではJ SPORTSで全試合を生中継する。日本ラグビー界の未来を背負って立つ原石に目を光らせたい。

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