15日(日本時間16日)、卓球の男子団体準決勝で世界ランキング4位の日本が同2位のドイツに3対1で勝利した。日本は決勝進出を果たし、同種目初のメダル獲得を決めた。決勝は中国と韓国の勝者と対戦する。

 

 快挙を成し遂げたエースが、再びメダルをもたらした。男子シングルスで銅メダルを獲得した水谷が大活躍。日本を勝利へと導いた。

 

 トップバッターを任された吉村真晴(名古屋ダイハツ)が、ドミトリ・オフチャロフに0-3と完敗。世界ランキング5位の実力を見せつけられて全く歯が立たなかった。2番手で登場した水谷の対戦相手はティモ・ボル。かつては世界ランキング1位に輝いたこともある。水谷は国際大会の対戦成績で大きく負け越している。ここで落とすこととなると、流れが大きく傾く。

 

「今回はすごく自信があった。彼に勝てると思ってここに来た」。水谷の表情からもそれは見て取れた。眉間に寄った皺が勝ちへの執念を表しているようだった。第1ゲームを11-9の接戦をモノにすると、そのまま乗っていく。フォア、バックの強打は面白いように決まり、得意のサーブも冴えた。11-5、12-10で連取し、ストレート勝ちでチームの勝敗をタイにした。

 

「水谷さんが流れを引き寄せてくれた」と吉村。丹羽孝希(明治大)と組み、ボルとバスティアン・シュテーガーとのダブルス戦に臨んだ。吉村はサーブで崩し、丹羽が決める。前陣速攻が持ち味だった丹羽は台から離れても強打を繰り出し、ドイツのペアを苦しめた。ゲームカウント1-1から11-4、11-5と一気にカタをつけた。

 

 4番手は水谷。男子代表の倉嶋洋介監督が「ここで決めるだろうという雰囲気の中で最高のプレーをした」と称えたようにシュテーガーを寄せ付けなかった。日本が世界に誇れるオールラウンダーは打ってよし、拾ってもよしとばかりに自在にコートを舞った。11-5、11-4で連取すると、3ゲーム目も1-1から9連続ポイントでマッチポイントを得た。10-4となり、粘るシュテーガーとの長いラリーになるが、最後は相手の返球が台から外れた。

 

 日本は初の決勝進出を決め、メダル獲得が確定した。水谷は「優勝しか見ていない。まだ終わっていない。あと1試合最高のプレーをしたい」と意気込んだ。倉嶋監督も「こんなチャンスはない。最高の準備をして臨みたい」とコメントした。おそらく最高の舞台で対するのは最強の相手・中国だろう。この勢いに乗って最高の結果を目指す。

 

(文/杉浦泰介)