30日から「セ・パ交流戦」が始まる。なぜMLBで1997年にスタートした「インターリーグ」を、8年遅れで導入したNPBは「交流戦」と命名したのだろう。私には未だに腑に落ちないところがある。セ・パ両リーグは試合を通じてもっと交流を深めるべきものなのか。私見だが「交流戦」という名称には、あまりギラギラしたものを感じない。もっと血沸き肉躍るような名称に改めるべき時期に来ているのではないか。

 

 本論に入る前にインターリーグの歴史をおさらいしておこう。MLBでインターリーグが始まった背景にはMLB選手会が94年から95年にかけて決行した232日間に及ぶストライキがあった。「Field of Greed」(欲張りたちの球場)。選手も経営陣も億万長者。ファンの目には「強欲者たちの分け前争い」と映った。

 

 離れたファンを球場に戻す策はないか。そこで企画されたのがNFLやNBA、NHLが先行導入していたインターリーグである。初年度、インターリーグの観客数は同一リーグの試合よりも約2割多かった。

 

 それを受け、日本でもパ・リーグを中心に交流戦導入の声が高まったが、ドル箱である巨人戦を何試合か失うセ・リーグの球団が賛成するはずはなく、実現への道のりは困難を極めた。導入のきっかけは04年に一般世間の注目をも集めた再編騒動。初年度はホーム&アウェー方式で1球団36試合が組まれた。

 

 その後、試合数は減り続け、現在は1球団18試合。セ・リーグの球団の中には、さらなる試合減を求める声もあるようだが、12年間で勝ち越したのが1度だけでは、“負け犬の遠吠え”にしか聞こえない。

 

 日本のインターリーグも13年目を迎え、鮮度が落ちつつあることは否めない。マンネリを打破するためには、どうすべきか。15年から勝ち越したリーグにはドラフト会議でのウェーバー優先権が与えられるようになった。このことはあまり知られていない。野球好きの編集者に話すと、「へえ、そうなんですか?」と驚いていた。

 

 両リーグの対決色を全面に出したいのなら、名称は現在の「交流戦」より「対抗戦」の方がふさわしいように思える。たかがネーミングと侮るなかれ。「名は体を表す」である。

 

<この原稿は17年5月24日付『スポーツニッポン』に掲載されています>


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