第293回 「女性初」IOC新会長の後ろ盾
国際オリンピック委員会(IOC)会長選挙は、約100人のIOC委員がひとり1票を無記名で投じ、過半数を獲得した候補者が出た時点で当選となる。
さる3月20日(現地時間)、任期満了で退任するトーマス・バッハ氏の後継を決める会長選挙がギリシャ・コスタナバリノで実施され、バッハ氏の「事実上の後継者」と呼ばれるジンバブエのカースティ・コベントリー氏が、1回目の投票で過半数を上回る97票中49票を獲得し、「女性初」「アフリカ初」のIOC会長に選出された。
投票前は世界陸連会長のセバスチャン・コー氏(英国)、IOCに21年間君臨したフアン・アントニオ・サマランチ元会長の息子ジュニア氏(スペイン)、そしてコベントリー氏の3人による接戦が予想されたが、蓋を開けてみればコベントリー氏の圧勝だった。
そもコベントリー氏とは何者なのか。五輪の競泳で2つの金メダル(04年アテネ大会女子200メートル背泳ぎ、08年北京大会同)を獲得しており、ジンバブエでは「ゴールデンガール」と呼ばれている。
IOC選手委員時代からバッハ氏の覚えがめでたく、24年パリ五輪では、史上初めて出場選手を男女同数にすることに貢献したと言われる。新会長の後ろ盾のバッハ氏は、終身名誉会長就任が決定している。
IOC会長任期は1期8年、再選による2期4年の最長12年。原則として定年は70歳。41歳のコベントリー氏は、再選を果たせば、2037年まで会長職にとどまることができる。これは“ぼったくり男爵”ことバッハ氏の「院政」が、あと12年続くことを示唆している。
コベントリー氏は、自国でスポーツ大臣を務めた経験こそあるものの、巨大スポーツ組織を束ねるリーダーとしての手腕は未知数。28年ロサンゼルス五輪では、トランスジェンダー選手や難民選手団に冷ややかな目を向けるドナルド・トランプ米大統領とのタフな交渉が待っている。結局は手練手管のバッハ氏に頼るしかないのが実情だ。
<この原稿は『週刊大衆』2025年4月14日号に掲載された原稿です>