チームの最重要テーマとしている国民体育大会まで約1カ月に迫った。7月31日、8月1日に行なわれた四国予選では愛媛代表の植木竜太郎選手・小川冬樹選手ペアが3戦全勝し、1位で国体出場を決めた。昨年は2回戦で姿を消し、悔しい思いをしているだけに、今年にかける思いは強い。そしてその国体が終われば、実業団日本一を決める日本リーグまで2カ月となる。記録的な猛暑が続く中、果たしてチーム状態はどうなのか。秀島達哉監督に訊いた。

 国体に向けて、テニスの愛媛代表チームは9月から遠征を実施し、本番に備える。今年、成人男子の代表となったのは、今や伊予銀行男子テニス部の2大エースとなった植木選手と小川選手だ。秀島監督も「自信をもって送り出せる」と太鼓判を押し、今年こそはと意気込んでいる。
 現在、国体に向けての課題は今季のチームテーマでもあるサーブだ。両選手ともに昨季以上にスピード、質と著しく向上しているものの、さらにもう一段階レベルアップを図るつもりだ。それぞれの具体的な課題を秀島監督に訊いた。

「冬樹はスピードも速くなったし、格段にうまくなっています。でも、いい時と悪い時の波があるんです。正直、要因は本人もわかっていません。おそらく疲れが関係しているとは思うのですが、これからビデオなどで分析して、波を少しでも減らしていきたいと思っています。
 竜太郎の方もスピードはこれまではとは比べものにならないくらい上がりました。ただ、その分相手のリターンも速くなりますし、展開事態が早くなる。そうすると、次のストロークまで早く打たなければならず、逆に自分が苦しくなってしまうことも少なくないんです。ですから、常に速いサーブを使うのではなく、今までのサーブとのコンビネーションを考えて、ここぞという効果的な場面で使っていこうと。つまり、緩急をつかって、メリハリをつけていこうと考えています」

 一方、その他のメンバーもそれぞれの課題を克服しようと努力を積み重ねている。新人選手は社会人生活とテニスとの両立に悩むことも少なくないが、広瀬一義選手はスムーズにここまできたという。しかし、さすがに疲労の色は隠せないようだ。今月出場した四国選手権、愛媛オープンでは満足な結果を得ることができなかった。
「少し足踏みしている状態ですね。広瀬は技術的には申し分ないのですが、どうも対戦相手に合わせてしまうところがあるんです。だから格上の相手にはいい試合をするのですが、自分よりもランキングが下の選手に勝ち切ることができない。自分自身のプレースタイルを確立させて、どんな相手にも一貫したテニスができるようになってもらいたいですね」

 ここのところ停滞気味なのは、萩森選手も一緒だ。秀島監督いわく、テニス自体は決して悪くはないという。疲労の蓄積、そしてモチベーションがやや下がっていることが敗因だと分析している。しかし、指揮官は全く心配していない。
「萩森には日本リーグで何度も助けられているんです。もう、ベテランですからね。調整の仕方はわかっていると思いますし、全面的に信頼しています。全日本選手権から徐々に上げていって、日本リーグにピークをもっていくと思いますよ」

 5月に右足の靭帯を切断し、約2カ月半もの間、リハビリに専念していた坂野俊選手は、今月中旬の毎日選手権から実戦復帰した。リハビリ期間中、しっかりと体幹を中心にフィジカル面を鍛えてきた。その結果、テクニック自体はほとんど故障前と変わらず、指揮官の予想以上にいいテニスができているという。ただし、5月から全くといっていいほど走り込みができていないため、スタミナが不足している。そのため、ファイナルにもつれこむと、足が止まってしまう。日本リーグまでの4カ月間は走り込み重視のトレーニングをするつもりだ。

 指揮官が最も気にかけているのは、キャプテンの日下部聡選手だ。昨季からの不調は未だ続いており、殻は破られていない。体のひねりや踏み込み足の置き方など、細かな修正が施され、練習では本来のショットが打てているという。しかし、本番になると一転、再び消極的なテニスになってしまう。それでも秀島監督は上昇傾向にあると見ている。
「だいぶよくはなってきているんですけどね。やはり練習とは違って、本番では余裕がありませんから、瞬時に反応しなければならない。その時に自然と動くくらいに体に染み込ませる必要があります。練習ではできているんですから、大丈夫。あとは反復練習ですよ」

 例年以上の猛暑の中、全国を転戦している選手たちには疲労がないわけではない。今が一番の我慢時といえる。その中で故障者がゼロというのは、チームにとっては何よりだ。普段のトレーニングの賜物でもある。今後は国体、日本リーグと今シーズンのクライマックスを迎える。伊予銀行にとって、これからが正念場だ。


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