9月、いよいよ女子ソフトボール1部リーグの後節が始まった。いきなり3連敗を喫した伊予銀行だが、4試合目の戸田中央総合病院戦では8−4と打ち勝った。前節をあわせると6試合ぶりの白星だ。伊予銀行は26日からは国民体育大会に臨む。「リーグへの影響を考えても重要」と大國香奈子監督は3位以内という目標を掲げている。果たしてどんな戦いが繰り広げられるのか。チームの現状とともに国体への意気込みを訊いた。

 後節が始まり、大國監督はチームに手応えを感じている。
「最初の3試合も負けはしたものの、前節よりも勝負どころでいいプレーが出ていました。接戦に持ち込めていますし、流れは悪くないと思っています」
 前節終了後、大國監督が後節のポイントにあげていたのがバッテリーだった。キャッチャーはもちろん、ピッチャーもバッターをよく観察して配球を考えなければいけない。これが前節で痛感したことだった。

 実際、後節ではバッテリーでよく配球を考えられているという。3連敗した試合では、逆にそのことを意識しすぎてしまったくらいだ。慎重になりすぎて四球でランナーをため、そこでタイムリーを打たれてしまう……。ようやく結果となってあらわれたのが、4試合目の戸田中央総合病院戦。バッテリーにとってもチームにとっても、この白星は今後への大きな糧となるはずだった。

 ところが、国体直前に行なわれた全日本総合選手権で思わぬ落とし穴があった。初戦の日立マクセルに6−1で快勝した伊予銀行。しかし、大國監督がポイントとしていた2回戦の豊田自動織機には1−5の完敗に終わった。この勝負、初回で既に決まってしまっていたという。
「前節は豊田自動織機に4−6と競った試合をしたのに、後節の初戦ではノーヒットノーランをやられてしまったんです。その悔しさを全日本総合選手権では晴らそうと。順位よりもとにかく豊田自動織機に勝とう、と言っていたんです。ところが初回、無死一、三塁と絶好のチャンスでクリーンアップが打つことができず、無得点に終わったんです。これでチームのモチベーションが一気に下がってしまった。その裏、3点を奪われた時点で諦めムードが漂っていました。自分たちで逆転できない雰囲気をつくってしまったんです」

 準備を重要視する大國監督だが、前節は選手たちがデータに頼りすぎているところが見えたため、後節は相手がどうこうではなく、自分たちの準備をしっかりとするように指示をした。それがいいかたちとして後節に表れていたと思っていた矢先だっただけに、指揮官の落胆ぶりは決して小さくはなかった。
 しかし、これもまたチームにとってはいい刺激となったのではないかと大國監督は考えている。

「豊田自動織機戦の完敗には“この3カ月間、何をしてきたんだ”という怒りでいっぱいでした。選手たちには油断があったのだと思います。でも、この段階でそのことに気づくことができたというのはラッキーでした。後節に向けていい引き締めになったと思っています」
 全日本総合選手権後、選手たちには再び緊張感が漂っている。引き締まった表情からも、彼女らの反省と次への意気込みは指揮官にも十分に伝わっているようだ。

 26日からは国体が始まる。今年の初戦の相手は岩手。富士大学の学生を中心としたチームだが、それ以上のデータはほとんどない状態だという。しかし、全日本総合選手権に出場していることからも、決して油断することはできない。
「勝負どころは初回だと思っています。先発ピッチャーが初回を無失点に抑え、攻撃陣は初回に先取点を挙げる。大学生は勢いに乗ったら怖いですからね。そうなる前に先に試合の主導権を握りたいと思っています」

 昨年の国体ではまさかの初戦敗退。そしてその後のリーグ戦は全敗を喫した。大國監督は国体での結果がリーグ戦にどんなに大きく影響するかを痛感したという。だからこそ、今年は内容ではなく、勝ちにこだわるつもりだ。果たして、目標の3位以内に到達することができるのか。そして、その余勢を駆ってリーグ戦に再び突入することができるのか。千葉からの朗報を心待ちにしたい。


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