愛媛県体育協会などが主催する「新春えひめスポーツのつどい2013」が3日、松山市内のホテルで開かれた。集まったのはボートの武田大作選手(ダイキ)や柔道の浅見八瑠奈選手(コマツ)など、県出身や県内を拠点にするアスリート、スポーツ関係者など約250名。司会を県内の社会人女子バレーボールチーム「CLUB EHIME」に加入した都築有美子選手(元トヨタ車体)が務め、会を盛り上げた。出席者はお互いの親睦を深めつつ、新たな年の決意を新たにしていた。
(写真:愛媛スポーツの躍動をイメージしてつくられた新体協旗も披露された)
 この「新春のつどい」が開催されるのは、今年で8回目。スポーツ関係者が一堂に会し、2017年の「愛顔つなぐ、えひめ国体」に向けて機運を高めようと毎年1月3日に行われている。

 国体開催が残り4年と迫り、昨年9月には大会スローガンやマスコットも発表された。しかし、大会盛り上げに不可欠な県勢の競技力向上は思うように進んでいない。昨年の「ぎふ清流国体」で、愛媛県は天皇杯(男女総合)成績で34位に終わり、一昨年の山口国体での25位から順位を落とした。

 冒頭で挨拶に立った県体協の大亀孝裕会長は「残念ながら現状では(地元開催で)“総合優勝する”などと口にする段階ではない」と厳しい見解を示した。そして、「ここ1、2年で見通しを立てるため、強化の歩みを早めなくてはならない」と各競技団体に奮起を促した。
(写真:「国体開催には夢と希望がある」と成功への強い意欲をみせた大亀会長)

 大亀会長は四国遍路にちなみ、各競技の現場88カ所を巡る試みをスタートしている。国体ブロック予選といった大会ではなく、普段の練習を直接、激励に行くことで、より現状を把握し、コミュニケーションを密にするためだ。既に目標の半数近い約40カ所を訪問しており、「県体協の自己財源を、ここ1、2年で全額投入して、各競技団体を支援したい」とさらなるバックアップを約束した。

 続いて祝辞を述べた中村時広県知事は、昨年のロンドン五輪で、愛媛県人として28年ぶりのメダルとなる銀メダルを獲得した柔道の中矢力選手(ALSOK)らを例にあげ、「県民に夢と感動を与えてくれたことは記憶に新しい」と改めてスポーツのもたらす力を強調した。前年のつどいでは「えひめ国体で男女総合優勝を目指す」と高らかに宣言しており、「競技力の向上に積極的に努めるとともに、施設整備やボランティアなどの住民参加の仕組みづくりに全力で取り組みたい」と行政側の厚いサポートを誓った。
(写真:「スポーツで“愛顔(えがお)”あふれる愛媛づくりを」と呼びかける中村知事)

 早速、9日の定例会見では、既に設置されている国体準備局に、競技力向上を図る部署を新設することを発表。行政と県体協、各競技団体が一体となった強化策がより推進されることになりそうだ。

 その後は出席した各アスリートが壇上に上がり、今年の抱負をそれぞれ披露。オークションやお楽しみ抽選会では中矢選手の柔道着をはじめ、各アスリートから競技用のジャージやグッズが出品された。最後は毎年恒例となった大亀会長とのじゃんけん大会が繰り広げられ、優勝者には花鉢が贈られた。なお、オークションの売上は国体選手の強化費に充てられる。
(写真:新年の目標を発表するボート・武田選手(左)、柔道・浅見選手)

 今回の「新春のつどい」について、県体協は「中村知事から改めて総合優勝を目指すとの力強いメッセージがあり、関係者一同、心強く感じたはず」と有意義な集まりだったと振り返る。今年の国体は東京都が舞台となり、「スポーツ祭東京2013」と題して実施される。大亀会長は「(天皇杯の順位で)限りなく20位に近づかなければ、地元開催での優勝はないとも考える」と一昨年の山口国体(25位)を上回る成績を目指すことを明らかにした。

 愛媛のアスリートや関係者が一堂に会する「新春のつどい」を通じて、競技を越えたつながりも生まれている。昨年の国体において成年男子ソフトボールで3位入賞の原動力となったクラブチーム「ウエストソフトボールクラブ」と、女子バレーボールの「CLUB EHIME」は、会終了後も2次会を開催し、お互いに健闘を誓いあった。

 県体協では国体に向けた事務局強化を進めており、4月からは人員も拡張して体制を整える。特に中央への人材流出が進む地方にあって選手の確保は急務だ。県体協では県と協力し、2月中に各競技団体から県内での就職を希望する選手リストを提出してもらい、該当者が地元で競技が続けられるよう、就職先の確保や環境整備に力を注ぐ考えだ。今後、県内の企業などで新たに雇用するアスリートは100人を超える規模が見込まれ、4月の体制強化に合わせて事務局内に選手の就職をサポートする専門の係を設ける予定になっている。

 さらに各クラブやチームを応援する後援会づくりも推進する。競技を強くする上では、地元の協力や応援は欠かせない。後援会が誕生することで、単なる金銭的や物資の支援のみならず、選手たちにとっては「たくさんの人に支えられている」というモチベーションになる。後援会で大勢の人たちがメンバーに加われば、県民総参加を謳う国体に向けた機運を高めることにもつながるだろう。既に県内では「CLUB EHIME」と北宇和高馬術部に後援会組織が新たに設立され、公益財団法人「大亀スポーツ振興財団」から助成を得ている。今後も10か所程度で新規立ち上げの動きが加速しそうだ。

 中村県知事は「巳年だけに、脱皮して飛躍の年に」と出席者に呼びかけた。大きな目標を成し遂げるためには、変革は必要不可欠だ。選手はもちろん、競技団体、県体協が、それぞれの立場で一皮むけ、えひめ国体へ大きな希望がひらける2013年にしたい。

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関連リンク>>公益財団法人 大亀スポーツ振興財団

(石田洋之)
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