伊予銀行女子ソフトボールはリーグ戦を前節6勝1敗で終え、ホープセクションの暫定1位で折り返した。後節に入り、第4節の3試合を終えて通算8勝2敗。1部復帰をかけたプレーオフ進出に向け、残りは第5節の2試合のみとなっている。正念場とも言える第5節に弾みをつけるためにも、28日に開幕する「スポーツ祭東京」こと国民体育大会は重要な試合となる。

「走塁のタイミング、守備の連係、バッティングにおける各自の苦手克服……走攻守すべてにおいてレベルアップを図っているところです。そして、確実にチームの力は上がっています」
 酒井秀和監督は、そう手応えを口にした。

 4年後には地元愛媛県での国体開催を控えている伊予銀行にとって、国体出場は大きなミッションとなっている。酒井監督も「リーグ戦とはまた違った国体独特の緊迫した雰囲気の中で試合経験を積むことが重要」と、2年ぶりとなる国体出場の意義を語る。

 その国体での初戦の相手は富山県。同じ2部リーグ・ホープセクションに所属するYKKの選手が中心のチームだ。伊予銀行は前節でYKKを4−1で下している。国体後のリーグ戦が再開すれば、第5節の初戦として最初にあたる相手でもある。つまり、この試合は国体のみならず、リーグ戦にも大きな影響を与える大事な一戦と言える。果たして、どんな試合展開となるのか。

「YKKはどちらかというと、打のチームというイメージが強い。足を絡めた攻撃が得意なんです。うちのチームもバッティングは上がってきていますから、打ち合いになることも予想されます。伊予銀行としては、とにかく先取点を取って、早めに流れを引き寄せたい。そのためには各イニングの先頭打者の出塁がカギとなる。そして犠打など小技を確実に決めてランナーをスコアリングポジションに進めること。逆に相手には小技を使わせないようにしたい。だから守備も大事になってきます」

 国体前の最後の公式戦となった全日本総合女子選手権大会(9月14〜16日)で、酒井監督は国体への手応えと課題の両方を感じた。初戦で対戦したのは昨年1部に昇格し、今年も1部に所属する戸田中央総合病院。過去には2部で何度も対戦してきた相手だが、今では1部相手に白星を挙げており、確実にチームのレベルは上がっている。その戸田中央総合病院に伊予銀行は善戦したが、惜しくも2−3と1点差でのサヨナラ負けを喫した。だが、チームにとっては大きな収穫を得た試合となった。

「1部相手に勝利を挙げているチームから、タイムリーが出たことについては、日ごろの練習や実戦で積み重ねてきたことの成果だと思いました。2死からでも得点できるようになるなど、チームの力は上がってきています。しかし、初回の2失点は守備のミスが絡んだもの。そして最終回の決勝点も1死無走者からのショートゴロを一塁に悪送球したことから始まった失点。次打者を送りバントで二塁に進められ、最後はセンター前へのタイムリー。守備での課題が浮き彫りとなりました」

 全日本選手権同様、負けたら終わりのトーナメント制である短期決戦の国体では、守備でのミスが命取りになる。だからこそ、酒井監督は初戦の初回の攻防が非常に重要だと語る。
「練習で培ったものを出し、どちらが先に流れをつかむことができるか。これが2回戦以降にもつながってくる」
 富山との初戦は2日目の29日、福生市営福生野球場で行なわれる。4年後の国体、そして国体後のリーグ戦にもかかわる大事な一戦だけに結果のみならず、その内容が問われそうだ。


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