10月12日に開幕する「長崎がんばらんば国体」へ、この夏は各競技で代表選考会や地区ブロック予選が繰り広げられている。ダイキに所属するボートの武田大作選手や、ダイキ弓道部、ダイキジュニアゴルフスクールの各メンバーも、国体出場と上位進出を目指し、トレーニングに励んできた。猛暑に負けず劣らず、熱い日々を送る選手たちの今を紹介する。
(写真:選手兼任で愛媛県ボート協会の強化部長としても奮闘する武田)
<ボート武田、20歳下とのペアで頂点へ>

 ボート競技では既に四国ブロック予選が終了し、愛媛県勢は全12種目での出場権を確保した。
「四国の中では愛媛の実力は抜きん出ていますから、予選突破は当然として各クルーのタイムに注目していました。全体的に昨年よりはいい記録が出ている。国体で上位を目指せる態勢が整ってきたと感じます」

 愛媛県ボート協会の強化部長も務める武田は手応えを口にする。現役を続けながら、県勢のレベルアップを担う役割を担って約1年半、ボート界の第一人者が取り組んできたのが、成年の充実だ。「少年はその年によってメンバーが入れ替わる。成年で強いチームをつくることが国体で好成績を収めるには不可欠」と、県出身の大学生を中心に声をかけ、所属先にも協力を求めるなど選手集めに奔走してきた。

 その結果、高校で結果を残した若手が成年でも引き続き、県の戦力となり、選手層が厚くなってきた。その中から県予選や四国ブロック予選を通じ、いかにベストのクルーを組むか。国体に向けた戦略を練り上げるのも武田の仕事だ。

「9月に全日本選手権があり、全員が集まって練習できるのは10月の3日間の直前合宿だけ。6月の県予選会を通じて、短い期間でも合いそうなクルーを考えました」
 
 武田自身はダブルスカルで国体に出場する。オールを合わせるのは今治西高出身の越智寛太(筑波大3年)。昨年はインカレのダブルスカルで2位、全日本選手権でも4位に入った実績を持つ。実に20歳差のペアとなるが、武田は「センスがある子なので楽しみ。可能なら9月に一緒に大会に出たり、レース経験を積みたい」と若手とのコラボを心待ちにしている。

「少年は男女で全種別入賞が可能な実力があります。成年も含めて10種目の入賞を目指したい」
 武田は長崎国体での目標を高い次元に設定している。昨年の東京国体では入賞が7種目で、総合得点も目標の100点に届かなかった(86.5点)。今年はハードルをより上げ、倍増に近い150点を狙う。

「オール愛媛で勝とうという雰囲気が生まれてきています。直前合宿は成年、少年合同でやりますし、いいかたちで仕上げたいと考えています」
 県予選では成年でトップの成績を収め、選手兼強化部長としての面目を保った。国体でもこれまでの経験を生かして、名実ともに愛媛県を牽引していく。

<弓道、5年ぶり国体へ最終調整>

 弓道は24日に高知市で四国ブロック予選を迎える。今回、県代表として臨むのは、ダイキ弓道部の原田喜美子、山内絵里加、玉木里奈、岡本豊未の4名。今年入社した新入部員の玉木、岡本が代表入りし、若い力を融合させて5年ぶりの予選突破を図る。
(写真:青野監督が「部内にいい刺激を与えている」と評する新人の岡本(左)と玉木)

「時間が許す限り、練習は重ねてきましたから、あとは最終調整です。どれだけ度胸を決めて弓を引けるか。そのための準備に残りの時間を充てたいと思っています」
 新しく就任した青野常孝監督の下、特に力を入れてきたのが遠的のレベルアップだ。昨年のブロック予選では近的で徳島に次ぐ2位につけたものの、遠的では0点が相次ぎ、まさかの4県中最下位に沈んだ。

「0点は絶対に出さない。4射で20〜25点を取る。この2つをノルマにしています」と県代表では監督も兼務する原田は語る。連日の練習で課題は克服しつつあり、青野監督は「ノルマを達成する計算はできてきた」と選手たちに信頼を寄せる。

 近年は四国内の各県の実力が上がり、昨年の東京国体では高知県が成年女子遠的で優勝を飾り、徳島県も7位入賞を果たした。4県中2枠の出場権も手にするのは容易ではない。

 現状を打破すべく、青野監督は選手たちに本番での勝負強さを植えつけるため、「試合経験を積ませ、自信を持たせる」ことをテーマに掲げてきた。5月には大阪・住吉大社全国弓道大会と全日本弓道大会(京都市)に出場。6月には和歌山県での全日本勤労者弓道選手権大会にも参戦した。全日本大会では有段者の部で原田が3位に入るなど一定の成果も収めてきた。
(写真:自身7年ぶりの国体出場へ意気込む山内(左)と、弓道部主将の原田)

 実戦を重ねる中で、どうすればベストの状態で的と向き合えるか。選手たちは自分なりの方法を模索してきた。原田は「試合では最初の1本目が肝心。立ち上がりでつまずかないために、準備体操を入念にするようになりました。昨年、ボートの武田さんに肩、ヒジのストレッチを教えていただきましたが、今年は青野先生からもヒジや手首の無駄な力を抜く運動を習い、取り入れています」と話す。

「ここまで来たら、あれこれ考えず、頑張る。それしかありません」
 キッパリと言い切った原田の目には国体出場という的しか映っていない。

<ジュニアゴルフ、竹下が国体出場へ> 

 念願の国体選手の誕生だ。
 2017年の「愛顔(えがお)つなぐ えひめ国体」で優勝可能な選手を育成することを目的に、09年2月に開校したダイキジュニアゴルフスクールが6年目にして県代表を輩出した。高校1年の竹下桃夏だ。6月、7月に実施された選考会の結果、3位に入り、上位3名に与えられる出場枠を勝ち取った。

 竹下は6月の選考会では出場圏内の3位につけると、「何とか2位に入りたいとの一心で、4位との差は言われるまで気づかなかった」と最終選考会でも自分のゴルフを貫いた。2日間を78、77とスコアを大きく崩すことなく、3位をキープ。中学生ながら最終選考会に残った昨年に続く2度目の挑戦で、県代表に選ばれた。

 昨年の最終選考会では5位に終わり、代表にはなれなかった。この1年で竹下は「技術もそうだが、考え方が変わった」と自己分析する。
「今までは試合でも完璧を求めすぎて、できないことばかりを引きずってスコアも悪くしていました。それが今年はなくなり、うまく切り替えられるようになったことが大きいと感じています」
(写真:ゴルフ好きの祖父と父の影響で小学3年からゴルフを始めた竹下)
 
 江口武志監督も「メンタル面が強くなった」と成長を認める。
「マイナス面をうまくプラスにできるようになりましたね。うまくいかないこと、結果がでないことがあっても辛抱できるようになりました」

 強い心を培ったのは日々のたゆまぬトレーニングだ。竹下はスクールでの練習のみならず、高校まで日々、30分強の道のりを自転車で通い、自宅に帰ってからはランニングで足腰を鍛えた。自宅では江口監督から勧められたトレーニング教材を参考に体幹強化を試みた。「体力がついて、スイングが安定してきました。2日間のラウンドでも後半までショットが乱れなくなり、70台のスコアでほぼ回れるようになりました」と竹下は効果を実感している。

 初の国体を前に、16歳は「今までやってきたことを大きな舞台でどれだけ出せるか。それができれば成績もついてくるし、自信になるはず」と抱負を語る。江口監督も「能力以上のことはできない。今できることを全部出して、この先につなげてほしい」と望んでいる。

 スクールでは、他にも中学3年の岡山史弥が8月5日に開催された愛媛県小中学生ゴルフ大会で4位と、将来が期待できる人材が順調に伸びている。
「まだ小中学生はスコアや順位にこだわる段階ではありません。それよりも大事なのは内容。練習ではいくら良くても、本番で力を出し切れない選手はたくさんいます。試合の中で経験を積みながら、その壁を突破できるコツをつかんでほしいですね」

 秋にかけても大会は続く。国体出場選手を生み出し、ひとつの目標を達成したスクールは、えひめ国体で活躍できる人材育成、そしてプロゴルファーの輩出を次なるホールと見据え、ショットを打ち続けていく。

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関連リンク>>公益財団法人 大亀スポーツ振興財団

(石田洋之)

(このコーナーでは2017年の「愛顔つなぐ えひめ国体」に向けた愛媛県やダイキのスポーツ活動について、毎月1回レポートします)


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