僕たちYFCMDの所属する香港プレミアリーグが12日に開幕しました。今季から香港の1部リーグはプレミアリーグと名称を変更し、新たなスタートをきります。昨季は八百長騒動でリーグが揺れた影響もあるのでしょう。今季は開幕前に選手向けのセミナーが開かれ、元浦和のDF西野努さんが、プロフェッショナルとしてのあり方について講演を聴く機会もありました。これまで香港ではリーグ全体で選手を指導する機会はなかっただけに、再出発にかける強い意気込みを感じましたね。
(写真:現地での告知も盛んに行われている)

 とはいえ、僕たちの開幕戦は27日とまだ先。9クラブによるリーグ戦で変則的な組み合わせになっている上、韓国・仁川で開かれるアジア大会にU-21代表に僕たちのクラブから6人も選出されているため、予定されていた試合が延期になりました。

 その分、昨季と比べればチームの仕上がり具合は順調です。8月末からは8日間、昨季と同じく中国本土の広州に渡り、キャンプを張りました。広州も香港と同じくらい暑い毎日でしたが、日頃の人工芝での練習とは違い、天然芝のグラウンドを使えた分、体への負担は軽く感じました。またホテルもすぐ近くに用意されており、環境面では申し分なかったですね。

 キャンプ中は練習はもちろん、食事もみんなと一緒ですから、お互いの性格や特徴をつかむことができました。トレーニングマッチでは1試合目で1アシスト、2試合目でゴール。香港に戻ってから9日のトレーニングマッチでもゴールを決め、個人的にもいいかたちで開幕に臨めそうです。

 トレーニングマッチでの2得点は、1点目がスルーパスに反応して相手DFラインの裏をとり、右足で決めたもの。2点目は中盤から左サイドへパスが入り、うまく体を反転させながら左足でダイレクトシュートを打ちました。

 昨季、13ゴールをあげたうち、最も多かったのはヘディングシュート。当然、今季は相手も警戒してくることが予想されます。引き出しを増やすことを自らに課していただけに、開幕前とはいえ、右でも左でも得点をあげられたのは自信になりました。

 どんなかたちでも点が獲れるとなれば、相手は対応しにくいはず。そうすれば、またヘディングでゴールを決めるチャンスも増えてくるでしょう。とにかく、今季は昨季以上の得点、そしてチームの勝利につながる得点をひとつでも多く決めたいものです。

 チームは昨季、失点が多く、DF陣の整備が課題でした。その点、今季はセンターバックにサウザンでプレーしていたスペイン人のルーペンが移籍してきました。彼はベテランでリーダシップがとれ、コーチングもできます。同じくサウザンからやってきたディフェンシブハーフとうまく連係をして、守りは安定しそうです。

 守備がしっかりすれば、その分、攻撃にエネルギーが割けます。今回、U-21の代表に選ばれているFWウォン・ワイらがアジア大会での経験を生かし、持ち味を出してくれれば勢いに乗れるでしょう。若い選手が多いだけに、開幕から勝ち続けることでチームとして成長できればと考えています。

 14日はユンロンに移籍した吉武剛が開幕ゴールを決めました。「おめでとう」と祝福すると「日本人の力をみせましょう」と返事がありました。彼に負けないよう、2人で得点王争いができるくらいゴールを量産したい。開幕に向けていい刺激を受けました。

 吉武もこの9月で33歳だそうです。トレーニングやケアの方法が進歩し、サッカー選手の寿命は確実に伸びています。そのことに感謝して、ベテランとしての存在感をお互いにチームの中で発揮できれば、と思っています。

 日本では愛媛時代の監督イヴィッツア・バルバリッチさんがコンサドーレ札幌で指揮を執ることになりました。バルさんは厳しく熱い人でしたが、基本の大切さを改めて教えてくれた監督です。

 たとえばパスを受けるタイミング。自分勝手に動くのではなく、パサーがルックアップしたら走り出す。それを普段から何度も何度も練習させられました。他にもパスを受ける体の向きや足の着き方など本当に指示が細かかったです。

 これらは基本中の基本とはいえ、それを徹底することは決して簡単ではありません。簡単なことほど難しい。簡単なことほど重要。バルさんから学んだことは香港で若手とプレーするにあたって、非常に役立っています。

 愛媛では戦力不足もあり、満足な成績を残せませんでしたが、札幌なら、きっといい位置へ導いてくれることでしょう。札幌には愛媛で一緒だったケンゴ(石井謙伍)もいます。愛媛ともども、これからは札幌の結果もチェックしていきたいですね。

 今度の開幕で僕はプロ19年目のシーズンに突入することになります。長くプロ生活を続けていても、開幕戦は独特のものがあります。おそらく、27日の開幕戦も、過去18シーズンとは違ったかたちになるでしょう。

 だからこそ、いくら準備をしてもしすぎることはありません。27日は心身ともこれ以上ないくらいにコンディションを高め、キックオフから力を爆発させるつもりです。

 また1年間、新たな戦いが始まります。いい報告がたくさんできるよう、1試合1試合、全力で頑張ります!

(このコーナーは第3木曜更新です)
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