15日、WBSC世界野球プレミア12の第1ラウンドが行われ、Bグループの日本代表(世界ランキング1位)は、ベネズエラ代表(同10位)に6-5で勝利した。先発の西勇輝(オリックス)が先頭打者本塁打を含める2本のホームランを浴びて、ベネズエラに試合の主導権を握られる。2-3と1点を追いかける8回裏、中田翔(北海道日本ハム)の2点タイムリーで逆転した。しかし、9回表に松井裕樹(東北楽天)が2点を失い、再びリードを許す。9回裏、相手のバッテリーミスの間に同点に追いつくと、中村晃(福岡ソフトバンク)が適時打を放ち、サヨナラ勝ちを収めた。Bグループ1位通過の日本は、Aグループ4位のプエルトリコ代表(同9位)と明日準々決勝で対戦する。

 

 途中出場・中村、チームの無敗を守るサヨナラ打(桃園国際棒球場)

ベネズエラ代表   5 =100200002

日本代表      6 =010100022×

 

(ベ)ガルシア‐マルティネス‐エルナンデス‐●ニエーベ‐カステラーノ

(日)西‐大野‐牧田‐○松井

本塁打 (ベ)オルメド1号ソロ、アポダカ2号2ラン

 

 土壇場での見事なサヨナラ勝ちだった。序盤からベネズエラにリードされる苦しい展開となったが、離されても追い越して、粘り強く戦った結果が勝利に繋がった。この1勝は、明日から始まる準々決勝に向けて弾みとなるだろう。

 

 初回、先発の西はわずか3球で1点を奪われた。先頭のレイ・オルメドに投じたインコースの直球をライトスタンドに運ばれ、プレイボール早々に失点を許す。1点を追いかける日本は、2回裏に筒香嘉智(横浜DeNA)が四球で出塁すると、中田がヒットでつなぐ。1死一、三塁のチャンスで平田良介(中日)が三遊間を破るタイムリーヒットを放ち、同点に追いついた。

 

 平田の一打で試合を振り出しに戻したものの、4回表に西が再び一発を浴びる。1死一塁でフアン・アポダカをカウント1-2と追い込んでからの4球目を左中間スタンドに飛ばされた。味方の援護もむなしく、アポダカの勝ち越し2ランで、またしてもベネズエラにリードを許す。西は、この回を投げ切ると、大野雄大(中日)にバトンを託した。

 

 2番手の大野は5、6、7回を3人ずつで抑えて味方の反撃を待った。しかし、打線にいまひとつ元気がない。ベネズエラ先発のフレディ・ガルシアに5回からの3イニングを完璧に封じられて、リードを許したまま終盤を迎えた。

 

 試合が動いたのは、8回裏。山田哲人と途中出場・川端慎吾の東京ヤクルトコンビがヒットでつなぐと、筒香は敬遠される。1死満塁で今大会絶好調の中田が打席に入る。ランナーありの場面では抜群の勝負強さを発揮している中田は、ここでも仕事を果たす。スライダーを弾き返すと打球は、高く伸びてレフトを守るフランク・ディアスの頭上を越えた。2人が生還して、逆転に成功。9回、あと3つのアウトを取れば試合は終わるはずだった。

 

 最終回のマウンドに上がったのは、今大会2試合でゲームの締めくくりを任せている松井。だが松井は1つアウトをとると、立て続けにヒットを浴びる。さらにレニー・オスナの打席で、投球モーションに入ったところで審判に不意打ちにタイムをかけられた。これで投球リズムを崩すと、四球を与えて1死満塁のピンチを迎える。9番のダグラス・ランデータを2球で追い込んだあと、3球目のチェンジアップをレフト線に運ばれる。勝利目前で痛恨の一打を浴び、4-5と逆転された。

 

 迎えた9回裏。代打・今宮健太(ソフトバンク)がヒットで出塁すると、秋山翔吾(西武)が足に死球を受けて無死一、二塁となった。途中から2番ショートに入っていた中島卓也(日本ハム)が確実にバントをきめると、山田は歩かされた。しかし、ベネズエラベンチの満塁策は裏目に出る。勝負を挑んできた川端の打席で、初球にワイルドピッチ。バッテリー間にミスが生まれて、三塁走者の今宮が生還した。

 

 川端は敬遠で再び塁が埋まる。ベネズエラは、次打者の中村を迎えたところで、左のヨスエ・カステラーノを投じる。さらにグラウンドをみると外野2人、内野5人にシフトしてサヨナラを阻止する守備体形をとった。中村は、フルカウントからの6球目をレフト方向に打ち返す。打球は三遊間をゴロで抜き、サヨナラタイムリーとなった。3季連続3割を記録したアベレージヒッターの見事な一振りで接戦を制した。

 

 劇的な勝ち方をした日本は、予選の第1ラウンドを全勝で突破して決勝トーナメントに進む。小久保裕紀監督は「明日は前田健太(広島)です。日本のエースとして堂々とねじふせてほしい」と明言した。前田はエースとして日本を勝利に導くことができるか。世界一に向けて、負けられない戦いがいよいよ始まる。