19日、WBSC世界野球大会プレミア12の準決勝が東京ドームで行われ、日本代表(世界ランキング1位)が韓国代表(同8位)に3-4で敗れた。日本は4回裏に平田良介(中日)がタムリーヒットを放ち先制すると、坂本勇人(巨人)の犠牲フライなどで得点を重ねる。投げては、先発の大谷翔平(北海道日本ハム)が7回無失点11奪三振と好投。しかし、3点リードで迎えた9回表にリリーフ陣が4点を奪われ、逆転を許す。その裏、得点をあげることができず、準決勝敗退した。

 

 4番イ・デホ、逆転タイムリー(東京ドーム)

韓国代表   4 = 000000004

日本代表   3 = 000300000

 

(韓)イ・デウン‐チャ・ウチャン‐シム・チャンミン‐チョン・ウラム‐○イム・チャンミン‐チョン・デヒョン‐Sイ・ヒョンスン

(日)大谷‐●則本‐松井‐増井

 

 開幕から負け知らずで勝ち上がってきた日本だが、勝利目前で白星を逃すという予想外の結末に終わった。終盤のチャンスをモノにできなかったこと、絶対的な守護神不在が、大きな痛手となった。

 

 先発のマウンドには大谷が上がった。8日の韓国戦では6回無失点の好投し、日本を勝利に導いている。大谷は立ち上がりから159キロのストレートで三振を奪うなど、初回を三者凡退に抑える素晴らしいスタートを切った。2回に4番のイ・デホに死球を与えるものの、失投はこの1球だけだった。次の5番のパク・ビョンホをライトフライ、6番のミン・ビョンホンを併殺打に打ち取り、難なく切り抜けた。

 

 すると、3回から大谷の奪三振ショーが繰り広げられる。ファン・ジュギュンとヤン・ウィジをともに3球三振に切って取ると、次打者も1球で凡打に仕留める。3回終了時に5つ目の三振を奪った大谷はグラブを叩いて吠えた。勢いに乗る21歳の右腕は4回、先頭をファウルフライで打ち取ると、イ・ヨンギュとキム・ヒョンスを連続三振。ノーヒットピッチングを演じてみせた。

 

 一方、打撃陣は韓国先発のイ・デウンに3回までヒット1本に抑えられる。しかし、眠っていた打線は4回に一気に覚醒した。先頭の中田翔(北海道日本ハム)が四球で出塁すると、中村晃(福岡ソフトバンク)が2打席連続のヒットで繋ぐ。1死一、三塁で、平田が三遊間を破るタイムリーヒットを放ち、待望の先制点を掴んだ。続く、嶋基宏(東北楽天)はショートゴロ。ところが打球をさばいた遊撃手の送球エラーにより、さらに1点を追加した。

 

 ここで、韓国ベンチは早めの決断を下す。先発に代えて2番手のチャ・ウチャンを投じてきた。打席に入った秋山翔吾(埼玉西武)は四球を選んで1死満塁で坂本に繋ぐ。プエルトリコ戦で3打点をあげた坂本はライトに大きなフライを飛ばした。三塁走者の平田はタッチアップで悠々生還。この回だけで3点を奪い、好投する大谷を援護した。

 

 大谷は、3点のリードをもらったあとも三振の山を築く。5回にイ・デホをスライダーで見逃し三振。パク・ビョンホをフォークで空振り三振。ミン・ビョンホンをスライダーで見逃し三振。4回1死から5者連続三振を奪い、韓国打線を完璧に黙らせた。大谷は7回を投げ切るとマウンドを降り、7回1安打11奪三振と素晴らしい出来だった。

 

 4回裏の攻撃以降、打線はなかなかつながらない。7回に無死一、二塁の場面で、4番の筒香嘉智(横浜DeNA)が三振に倒れると、後続の中田と松田宣浩(福岡ソフトバンク)もフライに打ち取られる。追加点が狙える絶好の場面でクリーンアップが役割を果たせなかった。8回にも下位打線が作った1死一、二塁のチャンスは秋山と坂本がいかすことができずにリードは3点に留まったままだった。

 

 9回表、勝利まであとわずかアウト3つ。8回を三者凡退に抑えた則本昂大(東北楽天)が回またぎでマウンドに上がった。すると、則本は立て続けにヒットを浴びて無死一、二塁のピンチをつくった。ここで踏ん張りたかったところだが、チョン・グンウにカウント0-1からレフトへタイムリーヒットを打たれてしまう。次のイ・ヨンギュに投じたインコースの直球が死球と判定されて、無死満塁のピンチを招く。見かねた小久保裕紀監督は、則本を諦めて松井裕樹(東北楽天)に代える。

 

 しかし、この継投策もうまくいかなかった。今季チームでクローザーを務め、33セーブを挙げた松井でもピンチを凌げない。押し出し四球で1点差に迫られた。松井は1つのアウトも取れずに、マウンドを日本ハムの守護神・増井浩俊に譲る。韓国の押せ押せムード。松井を上回る39セーブを記録した増井もこの勢いを止められない。ソフトバンクの主砲イ・デホにレフト線を破るタイムリーを打たれた。勝利目前で、リリーフ陣が連打を浴びて逃げ切ることができなかった。

 

 その裏の攻撃では、2死から中田がセンター前にヒットを放ち、出塁する。一発が出れば、逆転サヨナラの場面で代打・中村剛也(西武)が登場した。準々決勝まで4番を任されていたスラッガーの長打力に期待したいところだったが、サードゴロに倒れてゲームセット。3-4で宿敵・韓国の軍門に下った。

 

 最後の最後に潜んでいた落とし穴に、日本は見事に引っかかった。大谷が7回85球と素晴らしいピッチングをしていただけに、悔いの残る継投となった。初代王者を目指し、日本と台湾を駆け抜けたが世界一を掴むまでの道のりはまだまだ遠かった。