昨年、行われた高円宮杯U-18サッカーリーグ2015プリンスリーグ四国にて、惜しくもリーグ優勝を逃してしまった愛媛FC U-18。第16節終了時点の終盤戦まで、リーグ戦首位をキープし続けていた彼らに何が起きたのか、振り返ってみたい。

 

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(写真:徳島とのダービーに臨む愛媛FC U-18)

 11月21日(土)、プリンスリーグ四国の第16節となる対徳島ヴォルティスユースの一戦が愛フィールド梅津寺(松山市)にて行われた。2日後に迫ったトップチームによるダービーを強く意識する中、その前哨戦のようなシチュエーションから、独特の緊張感が会場内には漂っていた。

 試合がスタートすると、立ち上がりこそ硬さが目立つ愛媛だったが、前半15分を過ぎる頃には持ち前の技術力を発揮し始める。ボールを支配し、長い時間にわたり、相手の陣地内で試合を優位に進めていく。

 前半32分、小木曽春樹選手のアシストにより、八木智紀選手の先制ゴールが決まった。すると堰を切ったかのように、立て続けにゴールを生み出す。前半35分には、柳澤拓弥選手。その2分後には、忽那喬司選手がゴール。

 後半に入っても、その勢いは衰えず、後半3分と後半18分にも追加点が決まる。そのまま、スコア5-0で試合が終了。愛媛の圧勝であった。欲を言えば、あと3得点くらいは、奪取できるシーンはあったのだが、そのチャンスを逃してしまい、もったいなく感じた試合だった。


 11月28日(土)、第17節となる対徳島市立高校の一戦が愛フィールド梅津寺にて行われた。第16節終了時点、リーグ戦にて愛媛に次ぎ、勝ち点3差で2位につけている徳島市立高。1位チーム対2位チームの直接対決という重要な一戦である。

 試合開始直後から、高い位置でプレスを仕掛けてくる徳島市立高。相手の積極的な攻撃姿勢に手を焼き、自陣でボールを奪われ、再三にわたりピンチを迎えてしまう。反撃に向け、細かなパスワークで敵陣へとボールを運ぶが、バイタルエリアで縦方向に向けてチャンスボールを出すことが、なかなかできない。

 後半に入っても相手の圧力で自陣に押し込まれ、苦戦を強いられる愛媛。後半9分、自陣ゴール前での混戦から先制点を献上してしまった。何とか追いつくために、ロングボールなども多用して必死の反撃を試みるものの、すべてが単発に終わり、タイムアップ。

 

 最も重要な一戦として位置付けていた今節だったが、最終スコア0-1で敗れてしまった。この結果、勝ち点は34点で徳島市立高と並ぶ形となったが、得失点差により、徳島市立高がリーグ戦の首位に躍り出ることになった。

 


 12月5日(土)、最終戦(第18節)となる対今治東中等教育学校の一戦が瀬戸大橋記念公園球技場(香川県)にて行われた。リーグ戦において優勝するため、1位チームとの得失点差を埋めるべく、大量得点と無失点での勝利が必要となった愛媛。海辺から強い風が吹き込むグラウンドにて試合がスタート。時折、決定機をつくるものの、コンディションのせいか、ゴールに結びつけることができない。

 もどかしい展開が続く中、前半はスコア0-0のまま終了。得点奪取に向けて気持ちと態勢を整えて臨んだ後半のはずだったが、その立ち上がり、何と相手に先制ゴールを許してしまったのである。

 手痛いミスを取り戻すため、積極果敢な攻撃で反撃を試みる。後半22分には、八木選手が同点ゴール。後半30分には再び八木選手が逆転弾を決める。後半38分には田野内和輝選手、後半44分には長野旭伸選手が追加点を重ねてくれた。

 首位チームとの得失点差を考えると、もっとゴールが必要なところなのだが、アディショナルタイムに入り、逆に相手に1点を返されてしまった。その後、悔やむ間もなく試合終了。最終スコア4-2で、愛媛が勝利したものの、この日、1位チームの徳島市立高も大量得点で勝利したため、得失点差は埋まらず、徳島市立高が2015シーズンの優勝チームに決まった。

 

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(写真:リーグ最終戦、試合後の3年生の記念撮影)

 愛媛FC U-18は得失点差に泣き、2年連続リーグ戦2位(11勝3敗4引き分け、勝ち点37、得失点差+18)という成績で、今季を終えることとなった。全18試合において、得点を獲れる時に獲れなかったツケがリーグ戦の終盤において重くのしかかり、順位の差となって現れる結果となってしまったのは本当に残念でならない。

 もちろん、失点を減らす努力も忘れてはならないが、充分に得点チャンスがあっただけに、決めるべきところで決められなかったのは今更ながら悔やんでも悔やみきれない。それでも、シーズンを戦ってきた選手たちにとっては、将来的な観点から良い経験が得られたのではないかとも思える。ここで悔しい思いをしたことが、次のステップへと活かされるのを切に願いたいものである。

 小言ばかりになってしまったが、さまざまな場面において愛媛FC U-18を支え、トップチームの運営ボランティアなどでも活躍してくれたチームを卒業していく3年生の選手たちには、感謝の気持ちを伝えたい。
「3年間、たくさんの感動を、本当にありがとう! お疲れさま!!」

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja

Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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